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『Especially for you』 11月のとある休日。 私、柊かがみはラノベを読んだり、時折お菓子に手を出したりと自室でゆっくり すごしていた。 (ごろごろして食べていると太るよ~と聞きなれたふにゃっとした声が聞こえた気がしたが、 気のせいだろう・・・多分。) しばらくして、私の携帯にこなたから着信があったが、 その場で電話に出ることが出来なかった為、改めて掛け直した。 「おーす、こな・・」 「(出来る限り低い声で)はい、こちらキッチン金子クリーニング。」 「もしもし?」 「出前ですか?クリーニングですか?」 「いや・・、どっちでもないんだが。」 「あー困るんですよね。今忙しいから(と言って切ろうとする)。」 「ちょっと待て。今何処繋がった?」 「(普段の緊張感の無い声で)キッチン金子クリーニング。」 「なにそれ!洋食屋なのか?クリーニング屋なのか? ミートソース、ワイシャツに付きそうな店じゃない! ・・・・って、今うまいこと言ってるんですよって顔したろ。」 「おおう、よくわかったねかがみん。さすが私の嫁。」 「嫁じゃねえ!!」 「で、何の用なの?」 「かがみさ、明々後日暇?」 「んー、特に予定ないけど・・でも平日じゃない、どこに行くのよ。」 「浅草の酉の市。」 「ああ熊手等の縁起物を売る市が開かれる日ね。ってうちの神社でも開いているわよ。」 「知ってるよ。地下鉄の広告で見かけたんだけどさ。交通もそう不便でないし。 結構にぎわっているみたいなんだ。しかも開催時間が0時から24時!! なところが気になってね。」 「うそ!ホント長いわね・・・。」 「それとかがみんちの神社にも関係する内容だから興味あるかなと思ってね~。 ・・・明々後日来てくれるかな!!」 「いいとも!!いうのを期待しているのかオマエは?」 「(ニマニマして)しょうがないなと呆れつつも、 とりあえず全力でネタに乗ってくれるかがみ萌え~。」 「うるさい・・・。昼は大学があるから駄目だけど、夜ならいいわよ。」 「やたー。さすがかがみん付き合い良い。それじゃ明後日、 日々谷線の入矢駅で午後6 30に待ち合わせだよ。 この時間なら比較的すいてるからね~。」 「入矢?浅草でなくて?」 「うん最寄りの駅は浅草じゃなくて、入矢なんだ。そっちの方が乗り換えが少なく、 交通の便も良いしね。」 「そうね。分かったわ。それじゃまたね。」 「うん。またね。」 そう言って、こなたとの電話を切った。 まったく、相変わらず唐突な奴だな。 本当に手に負えないわ、ありゃ。 でも誘われてそう悪い気もしないし、その日は特に予定もない。 まあ、明々後日付き合ってあげますか。 そう思いながら部屋の窓から外を眺めていると、 『ホントかがみんはツンデレなんだから~。』 などと言っている、調子いいあいつのあの笑顔が、 青空の中に映っている気がした。 こなたからの電話から三日後、私は日々谷線の入矢駅に来ていた。 「おーす、こなた。」 「やふー。かがみん。」 「あんたが待ち合わせ時間にちゃんと来るなんて珍しいわね。 明日は雨かしら?」 「私から誘ったんだしね、ちゃんと時間通りに来て当然だよ。」 「うむうむ。良い傾向である。」 こなたと合流し、入矢駅から浅草・千束の鷹(おおとり)神社へと向かっていった。 「ところでこなた、もしかしてうちの鷹宮神社の『鷹宮』の字から『宮』を抜くと 『鷹』となるところから関係があると思って私を誘ったの?」 「うん・・、まあそんなところだね~。」 「うちの神社『お酉様の本社』と言われていてね。つまり関東の酉の市の元締めみたいなものだから、 あんたの推測は間違いじゃないわよ。」 「へーそうなんだ。かがみんちの神社すごいところだったんだね。 今まで何も考えずかがみ達の巫女服姿目当てで来ていたよ。反省反省。」 「何も考えずはまだしも、巫女服目当てであるとはっきり言うのはどうかと思うわよ。 少しは文化の根本を見ないかオマエ・・・。」 こんなぐだぐだな会話をしつつ、ちょっとした商店街を通り、国際通りへと出て 目当ての神社へと向かっていった。 「ゆっくり押しあわず、お進みください。」 スピーカー越しにおまわりさんのこんな声が聞こえる、人ごみの前に私は立っている。 なんていうか、となりにいるチビすけに夏と冬に連れて行かれたコミケを 連想させる程の人の多さに少々驚きおののいている。 たしか、『この時間なら比較的すいているから。』なんて言っていなかったか?こいつ。 ・・・相変わらず、天気予報よりも嘘つきであてにならないやつだ。 などと考えていたら、ここに誘った張本人が口を開いた。 「いや~、この時間帯が酉の市の情緒を満喫するのには一番ピッタリだね~。 人もたくさん集まっていて、活気があっていいね~。」 「なあこなた。確かこの時間は比較的すいているからとか言ってなかったか?」 「あ~うん。言ってたっけな。まあここにいるのも何だし、早くお参り済まして、 他回ってゆこうよ。」 「あっ、ちょ、こなた。(人垣に押しつぶされ)きつっ。待ってよ。 あんた程小回り効かないんだから。・・・痛っ、賽銭当たった。」 こなたに無理やり手を引かれ、かなり込み合いかつ賽銭が飛び交う人ごみの中を をどうにかくぐり抜けていった。そして社前まで辿り着き、無事お祈り を済ませたのであった。 「もうかがみん。フードの中にお賽銭なんて・・・食欲どころか金銭欲まで強く なっちゃって。将来どんな弁護士になってしまうんだか、私は心配だよ。」 「フードの中に入ったのは、頭に当たったのが跳ね返ってきたからよ。 それと将来については、私よりもあんたの方がすごく心配だ。」 「食と金にいやしい、日本の汚いツンデレ(液晶TVアクオスのCMの吉永小百合風に)。」 「うるさい。日本の美しい液晶みたいに言うな。」 「とにかくお参りも済んだことだし、熊手の店や他の出店とか巡って行かない。 今、基本晩御飯の時間だし、かがみ様の底なし胃袋もそろそろ辛抱たまらなそうだしね。」 ぐぅ~と私の底なし胃ぶ・・もといお腹が鳴る。 「ほら、晩御飯って言葉にすぐ反応だ。」 「(顔を赤らめて)うっ、あっ、う・・。と、とにかく回ってゆきましょ。」 「あ~い。おっいきなり手を握ってくるなんて結構大胆だね~。(ニマニマ)」 「るさい。迷子にならない為よ。あんたちっこいから、ものほんの迷子に見られそうだし。」 「ひどっ(軽くショックを受け)。やっぱ最近かがみ遠慮なく失礼になったんじゃない?」 図星を突かれた私は、むりやりこなたの手をひったくり、酉の市を回り始めた。 鷹神社やその隣の長国寺にびっしりと掛けられた提灯が、こうこうと境内を照らし、 金銀細工の縁起熊手がきらきらと輝きを増し、それに加え市の明るさと周囲の夜 の暗さによるコントラストから、市そのものの華やかさが一層全面に出ていた。 そして、熊手を「買った買った」と売り込む掛け声や商談成立時の「いよ~っ」 から始まる三本締めが、市自体の活気や賑わいに拍車をかけ、江戸情緒と言える 風囲気を感じることができた。 ・・・・まあ、かなりの人ごみで揉みくちゃになり苦しかったという印象が強かったが。 人ごみの中をどうにか進み、こなたが休憩がてらどうしてもと言うので、 テーブルと椅子が併設された屋台の居酒屋に入っていった。 「こういう催しモノでは、やっぱ屋台の居酒屋は外せないよね~。かがみん。」 「(呆れつつ)たしかにそれは認めるが、女2人で入るところではないな。 (悪戯そうな笑顔で)それとあんた、見た目小学生だから一人で酒買えなかったじゃない。」 「ぐ・・・。とにかく買えたのだからいいのだよ。まずは飲も。」 「はいはい。じゃ、かんぱ~い。」 「ぷは~。最初の一杯はやっぱ最高だね~。」 「なんていうか。中身のおっさん化がどんどん進んでいっているわね。」 「こういうところでの酒はまた格別なのだよ、かがみん。 酔いどれてもこの辺、東横インとかビジネスホテルがあるから大丈夫だし。」 「何がどう大丈夫なんだ?つーか、そこまで飲むんじゃないぞ。 明日も講義あるんだからそこまで付き合えないし。」 「えー。付き合い悪いよかがみ~ん。東横インまで付き合おうよ。 ちなみにね、今東横インはカップルの初エッチスポットになっていてだね、 部屋の稼働率が上がっているのだよ。だから行こ?」 「だから行かない。ちなみに最後のくだりは何だ?全然関係ないだろ。」 というと、こなたが突然抱きついてきた。 「え、な、な、何だよ。お前何だよ。ちょっと待て。ちょっと離れろよ。 抱きつくな。小声でぶつぶつと『いい匂いがする』ってつぶやくな。(と言って、引きはがす)」 「想像以上やわ。かがみ。」 「想像以上ってなんだよ。どんな想像していたんだよ。」 「だからかがみ今日、私好みのオタ受けする格好しているのか?」 「別に関係ないだろ服装は。」 「ねっホテル行こ、かがみ。おねが~い。」 「お願いじゃない。ていうかホテル行く目的がすり替わっているじゃない。 ちょ、また抱きついてくるな。なんでベルト外そうとするのよ。」 「(抱きつきつつ)あのさ、昼だけでじゃなく、夜も相方になってくれない?かがみ」 「何の交渉し始めているのよ、アンタ。」 「んじゃ、どっちが突っ込みにしようか。」 「(また引きはがして)突っ込みの意味が違うだろ。」 「違うって何が違うのかな~かがみん。かがみんのお口からききたいな~?」 「(赤面して)るさい。お前もう酔っぱらっているのか?いいから、水飲んで一旦落ち着け。」 ホントに言動と行動はセクハラおやじだな、こいつ。 おとなしくしていれば、結構かわいいのに。もったいない。 まあ、今更おとなしいこいつも想像出来やしないが。 正直こんな風に、こなたのペースに巻き込まれているのも悪くない。 時々マジで鬱陶しく思うことがあるが、やっぱり一緒にいて楽しい。 一杯だけ飲んだ後屋台の居酒屋を出て、他の屋台出店を巡っていった。 射的にくじ引き、リンゴ飴、チョコバナナ、タコ焼き、じゃがバター、 チキンステーキ等の鉄板焼き系etc.etc. こういう屋台出店はいくつになっても何があるか、どれを食べようかワクワクして 見ているだけで楽しい気分になる。 そんな楽しい気分の中、勢いで上記の食べ物系を買い、ホクホク顔でパクついていたところ。 となりにいる射的とくじ引きで手に入れたハズレの品を持ったこなたに、何か言いたげな ニマニマした顔をされた。 「何よ、こなた。何か言いたそうだけど。」 「かがみも屋台出店を楽しんでいるみたいで、何よりだと考えていたところなのだよ(ニマニマ)。」 「いいじゃない。こんな風に屋台を巡るなんて中々ないし。最近出来る限り 体動かす様にしているから大丈夫よ・・・多分。」 「いやいや、かがみん。祭りだからってそうやって油断していると、 体重計の前で凍りつく思いをするんだよ。そうなっても後の祭りだよ。」 「あのさ、無理にうまく掛けようとした発言をしようと心がけなくてもいいから。」 そんなやりとりをしながら歩いていると、通りかかったスーパーの前でこなたの歩みが止まった。 「おお!!」 「ん、どうしたの。」 「こんなところで、懐かしの連打計測マシン、シュウォッチのガチャポンに出会うとは。さすが下町。」 「また、あんたは・・」 「んじゃ、さっそく(ガチャ、ガチャ)。」 私が呆れている横で、こなたは意気揚々とガチャポンに興じ始めた。 「では、開けてミルコクロコップ。(カパッ)」 「くだらねえよ。」 「高橋名人の冒険島バージョン、ゲット。」 「よかったわね。それじゃ行きましょ。あんたのめり込むと歯止めきかないから。」 「いやいやここはフルコンプでしょ、かがみん。これ私の主な活動場所でもみないし。」 「あっそう・・・」 こんな時私がどう諭しても、こなたの耳に届くことがないことが分かっている。 だから私はこなたの気が済むまで、ガチャポンに興じるのを黙って見ていた。 「あ~。どうしてもハドソンオリジナルカラーバージョンが手に入らないよ~。」 ダブリがちらほら出始め、こなたがそうぼやいていると、 小学生低学年ぐらいの男の子を連れた母子連れが通りかかった。 「お母さん。あのガチャポンやってきていい?」 「ああ、良いわよ。」 「やったー。」 「ねえ、こなた。あの子ガチャポンやりたいみたいだから、譲ってあげなよ。」 「そうだね。はい、いいよ。」 「ありがとう。(ガチャ、ガチャ)わあ、これ欲しかったんだ。」 と男の子はこなたの狙っていた、ハドソンオリジナルカラーバージョンを手に喜んでいた。 でこなたはというと、なんとも言えぬ悲しい表情をしていた。 「よかったわね。お姉ちゃんたちにお礼言いなさい。」 「うん、お姉ちゃん達ありがとう。」 「どういたしまして。」 「(若干うつろな表情で)ドウイタシマシテ。」 お礼を言い、母子は去っていった。 この後もこなたは、カプセルが空になるまでガチャポンを回し続けたが、 目当てのモノを手に入れることが出来なかった。 「あのさ、かがみ。ゆーちゃんがファミコンのコードに足を引っ掛けて、その衝撃で 私のドラクエⅢのセーブデータが消えちゃった時と同様のやるせなさを感じているよ、今。」 うぁ・・・。やっぱりすごく落ち込んでいる。 こなたの趣味に関して、今だによく分からないところがあるが、いつも前向きで明るい こいつががっかりして暗い表情をしているのは、一緒にいる私もつらい。 だから、こなたが暗い表情をしているとつい慰めたり、フォローをいれたりと世話を焼く。 「あー。でもさ、さっきの子すごく喜んでいたじゃない、ね。そりゃ目当てのものを 手に入れられなかったのは残念だけど、行動としてはよかったわよ。」 「そうだよね。うん。」 「いつまでも、くよくよしない。酔いどれるまでは無理だけど、 まだまだ付き合ってあげるから他行きましょ。」 「ホント?かがみって本当にいい人だよね。」 ぱあ、と表情が明るくなるこなた。やっぱりこなたは明るい表情が似合う。 「それじゃ、行こっか?こなた。」 「うん。」 高校入学時に会ってから一緒に泣いたり笑ったり、時にはケンカし仲直りをして 過ごしている中で、絆を深めてきた。 今はそれぞれ違う大学へ進み直接会うことは少なくなったが、いつも心のすみにこなたがいて、 ふとしたときに『こんな時あいつだったらどんなこと言うだろう、どんなリアクションするだろうか』 『今どうしているのかな』なんて考える。 そして考えるたびに楽しく、優しい気持ちになる。 だからこそこなたとは、これからも一緒に過ごしてゆきたいし、 思い出もたくさん作ってゆきたい。 そう心の中で思いながら、手をつなぎ、二人並んで雑踏の中に歩いていった。 ――――――数時間後 「かがみ、そろそろ終電だよ。しっかりして。」 「うーん、こなた。もう歩けない。」 「もう飲みすぎだよ、かがみん。・・って何抱きついてきているの?酒臭いよ。」 「(ろれつが回って無い感じで)さっき『いい匂いする』っていってたじゃない。」 「今はすごく酒臭いから。あっ寝ちゃった。結局、酔いどれるまで付き合ってくれちゃったよ、かがみん。 ・・やっぱり泊まるしかないかなホテル・・・」 続編『Escapade ~Especially for you after episode~』へ コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-09-18 09 18 26) 続きもキボンヌ。 -- 名無しさん (2009-12-05 03 20 46) 落ち着いた大人のテイスト、味があるSSだった。GJ。 -- お祭りに行く友達がいない名無しさん (2009-12-04 20 15 21) 母子連れを登場させたのがよかった! 落ちも素敵ぃ Especially for you 題名GOOD~ -- 名無しさん (2009-12-03 16 46 47) あぁ、大学生って感じでなんかいいなぁw -- 名無しさん (2009-12-02 00 37 44) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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修学旅行も終わり残す行事といえば学園祭だけであろう・・・ その学園祭が終わったら私たちは受験に向けて勉強漬けの日々を過ごさなければならない。 そして、今は学園祭開催まで一週間をきろうとしていた。 パティーが急に提案したチアダンスも未完成ではあるが形になってきておりまだ確信はないが間に合うはずだ。 「相変わらず柊の練習はハードだってヴァよ~休憩ほとんどなしでここまでやるんだもんなぁ~」 「お姉ちゃん~もうくたくただよ~;;」 「わたしももうくたくたデ~ス、チアダンスはやっぱ疲れるネ~」 「せ、先輩・・・筋肉痛で動けないっす・・・」 「柊ちゃん、みんな動けないみたいよ」 時計を見てみる、もう七時半か。 みんなとても疲れている様子だし時間的にもさすがにこれ以上続けるのは無理であろう。 「そっか、練習はじめたのはたしか四時からだったもんね。 みんなよくがんばったわね、今日はこのくらいにしてあがるか」 「そうですね、かがみさん今日もコーチしていただき誠にありがとうございます」 「いやいや、私だってまだ完璧にできるわけじゃないしお礼なんていらないわよ。 それよりみなみちゃん、ゆたかちゃんは大丈夫?」 「大丈夫・・・よく眠ってる・・・」 「よかった、ゆたかちゃんが起きたら無理だけはしないでって言っておいてね、 ただでさえ体も弱いんだし」 「ん・・・?」 「ゆたか・・・大丈夫・・・?」 「岩崎さん・・・ごめんね私また寝てたんだね・・・」 「ゆたか・・・無理しないで・・・」 「岩崎さん・・・」 「うお!ここでいきなり百合っすか!!!」 ひよりが急に元気を取り戻したようだ。 「かがみ先輩・・・いつも休んですいません、みんなにも迷惑かけてますし・・・」 「気にしないで大丈夫よ、まだ時間あるんだし無理して体壊したりしたら大変だし、ゆっくり自分のペースで練習しましょ! とりあえず、ゆたかちゃんも起きたことだし帰ろうか」 みんな帰る準備をして一斉に教室から出ていく 「はぁ・・・」 「どうしたの?お姉ちゃん?ため息なんかついて」 「え?いや、なんでもないの・・・」 なんでだろう、今日もこなたがいないだけですごく寂しい・・・ 最近、こなたは何か用事があると言ってチアダンスの練習もすぐ途中で抜けてしまう・・・ こなた本人に何の用事か聞いても教えてくれない・・・ 「ねぇ、パティー、こなたは何の用事でいつもいなくなるのか知らない?」 「オ~ゥそれは禁則事項ネ~特にかがみにわネ~」 「え?どういうことよ??」 「時が来たらわかりますヨ~」 「・・・」 「じゃワタシはこの辺デ~つかさかがみまた明日デ~ス」 「あ・・・うん、また明日ね」 「じゃあねパティーちゃん!」 いつからだっただろう・・・こなたの事ばかり考えるようになったのは・・・ 気がついたらいつもこなたは傍にいて・・・いつも私のことをからかってくる・・・ どんな時も猫口に笑顔で・・・ 「か~がみ~ん♪ナデナデ」 こなたが後ろから頭を撫でてくる 「ちょ!!おま!は、恥ずかしいから・・・や、やめろ!!///」 「またそんなにデレちゃってぇ~♪デレるかがみ萌え~♪」 「う!うるさい!!!///」 何気ないそんな時間がいつも幸せに感じた・・・ 私とこなたは親友である・・・でも最近それ以上のものを感じるようになった・・・ それ以上?・・・ってことは好き・・・なのかな・・・? でも、女同士だ!もしかしたら、何かの気の迷いのせいかもしれない・・・ 最近はこの事ばかり考え勉強も手付かずになるくらい悪化している・・・ わからない・・・・・・この気持ちはいったいなんなんだろうか・・・ こなた・・・あんたは今どこでなにしてるの? あんたは私のことどう思ってるの? なんで私を寂しくさせるのよ・・・・・・ ばか・・・・・・ 「お姉ちゃん!!!大丈夫!?」 「え?あぁごめんごめん大丈夫よ」 気がついたらすでに学校から出てつかさと二人で家へ向かっている途中だった。 「さっきからどうしたの?ずっと考え込んだまま歩いて、私でよかったら相談に乗るよ」 つかさは本当に優しい子だ、でも、ここで甘えてはいけないと思う・・・ このことは自分自身の問題でありつかさに迷惑をかけてはいけないし、 それにこれは自分にしかわからないことだから・・・ 「ありがとうつかさ、最近練習とかで忙しいし多分その疲れが出てきてるだけだと思うから・・・ だから、私は大丈夫だよ!」 私は笑顔でつかさに言う 「そっか、でも本当に無理はしないでね」 つかさも笑顔で返してくれた。 とりあえず、つかさに心配されているのだから早く解決してしまわないと・・・ そして私たちは普段どおり帰宅した ---------------- 「むぅぅぅここの楽譜難しいな~」 私はきたる日に備えて家でエレキギターの練習をしていた。 一ヶ月前くらいから練習しているのだがやはりそう簡単にできるものではないらしい、 もう一週間をきろうとしているのに、間に合うかどうか心配だ・・・ 「ううぅぅぅ指が痛い~くそぅ~動け私の指~」 私は苦悶の表情で弦を押さえる方の右手の指を素早く動かそうとする、 だが、中々指は言う事を聞いてはくれない・・・ また音が外れてしまった・・・ 「うぅぅぅぅ~くそぉ~もう一回だぁ」 私は真剣なまなざしで楽譜を見ながら再挑戦する・・・ そう、いつもだらけてる私がこんなに真剣になれるのは かがみのおかげなのである、 あの薄紫の髪のツインテールも・・・ キリっとしたツリ目に綺麗なラベンダー色に近い瞳も・・・ 普段はツンツンしてるけどその奥にある優しさも・・・ その全てが可愛らしくて愛しいくらいだ・・・ なぜ私はかがみのことを好きになったんだろう・・・ 昔は一番仲のいい友達で「同性趣味なんてない」なんて言い張ってたはずだった・・・ だけど・・・あのライブの日の出来事がきっかけで、私の、かがみに対する気持ちが変わった・・・ 「うぅ~くそ~見えない・・・」 前の席の人の身長が高くてステージが見えない。 「ほら」 かがみが肩をつかみ席を交換してくれる。 「え?かがみ・・・」 「そこならよく見えるでしょ?」 「でも・・・かがみが見えなくなっちゃうよ・・・」 「ライブ行きたいって言い出したのはあんたでしょ、その本人が一番いい所見逃してどうするのよ・・・」 かがみに優しい笑顔で言われて自分の顔がだんだん火照ってくるのがわかった・・・ 「・・・・・///」 正直、あの時のかがみの優しさは反則だと思った・・・ みゆきさんもつかさも気が付かなかったのにかがみだけが私に気が付いてくれた・・・ 本当にうれしかった・・・ その後からだんだん私の気持ちが芽生えてきて今にいたるのである。 「お!やったぁ~!!やっとここ弾けたよ!よ~し次々~♪」 一ヶ月かけてここまで頑張ってるのはおそらく高校入試以来だろう。 ギターの弦を押さえてる右手の指は常に包帯を巻いている、取って見てみるとわかるのだが 弦を押さえたり激しくこすったりするため皮膚はボロボロになっていて毎日ひりひりしてとても痛いのだ。 かがみに「あんたそれどうしたのよ!」と前に言われたことがあったが料理で火傷をしてしまっただけだと言ってごまかしている。 だって、本番までこれはお楽しみとして取っておきたかったから・・・ そして・・・私の思いを本番の日にちゃんと伝えようと思ったから・・・ 今回のバンドメンバーのみなみちゃんとパティーには事情を話してあるからばれることはないだろう、 あの二人はドラムとベースでしかも覚えが早かったため極力チアダンスの方に出てもらっている。 ライブの曲はあの出来事の日の曲を歌う。 かがみは私のためにほとんど見れなくなっちゃったからね・・・ 今度は私がかがみに恩返しをする番だ! 明日まで父は旅行で帰って来ないから今日はぶっ通し練習できる・・・ 「絶対にかがみを感動させてやるんだから・・・♪」 もう日も落ちチアダンスの練習も終わっただろうけど私の練習はまだ終わらない。 God knows...(中編)へ続く コメントフォーム 名前 コメント
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小ネタ『来年の抱負』 「いよいよ今年も終わりだね」 「そうね、意外と早かったわね」 「来年こそはかがみに――」 「私に、何よ?」 「あ、いやいや、こっちの話」 「? 変なこなた」 (――来年こそは、かがみに告白するんだ) 握り締めた手は、冬なのにしっとりと汗ばんでいた。 小ネタ2『来年の干支』 「いまからかがみを来年の干支にしてあげよう」 「来年の干支って、ネズミ? 人がネズミになれるわけ――」 チュッ 「!? チュ、チュウ!?」 「ほら、なった」 小ネタ3『今年の一文字』 「今年の一文字は『偽』だってね」 「色々賞味期限の偽装とかあったものね」 「実は私も偽装している事があるんだけど」 「へえ、何を?」 ぺりっ(アホ毛を取って) 「実は私、かなたなんです」 「お義母様?!」 「娘をよろしくお願いしますね?」 「は、はははははいっ!」 コメントフォーム 名前 コメント GJ!! -- 名無しさん (2023-01-03 18 06 57) お母様!? -- 名無しさん (2021-02-05 13 51 49) いつのまにかお義母様に? -- かがみんラブ (2012-09-15 21 46 29)
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★お知らせ(最終更新日09/09/17) コンペについて(次回のコンペの予定はありません) ルールなどコンペについての詳細はコンペ特設ページをご覧ください。 こんなシチュエーションのこなかがが読みたい!というアイデアがありましたらこなかがコンペ企画スレにお願いします。 職人の皆様、こなかが好きの皆様奮ってご参加下さい。 ★このWikiについて このページでは『2ちゃんねる「アニメキャラ個別」板こなた×かがみスレ』と『したらば掲示板【らき☆すた】こなかがBBS【こなた×かがみ】』に 投下された作品を、スレッド別/作者別にまとめて保管しています。 更新情報はこちらのページから最新100件までの確認できます。 初めてページ作成・編集に参加される方は編集の方法(参考)や編集の手引きを参照して下さい。新規作成用テンプレページ 携帯から保管庫を利用される方で、容量の問題で表示されない場合はファイルシークなどの閲覧プロクシをご利用ください。 ★新着情報(05月11日) 作者別保管庫(こなかがBBS7スレ目)H7-496氏の木枯らしに吹かれて-New! H7-496氏の好きの証明 H7-496氏の新たなステップ H7-496氏のさあ始めよう H7-496氏の決意表明 H7-496氏の押してダメならもっと押せ H7-496氏の素直な想いを H7-496氏の不器用と本音 H7-496氏のおとなとこども H5-912氏の『Merry Walking』 H5-912氏の『かがみ様のヘッドロック』 H5-912氏の『そばにいたい理由』 H7-353氏の夏祭り H5-912氏の『Lovin’ You』 H7-149氏のランチ H7-149氏の待ち合わせ H7-149氏のプロローグ mono氏の心地よい熱 別館107号氏の『こなたさんと寒い夜(独自設定注意)』 H5-912氏の『System Addict』 画像保管庫(こなかがBBS)8-784氏のいっしょに行こうとかが☆こな-New! こなかがお絵描き掲示板 ★現行スレッド 現行スレッドはこちらです 【らき☆すた】こなた×かがみinこなかがBBS Part7【こなかが】-New! http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6076/1322369545/l50 (携帯用) 【らき☆すた】こなた×かがみPart30【こなかが】@アニキャラ個別(現在dat落ち) http //changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1240850314/ ★こなかがBBS・お絵描き掲示板・画像掲示板 【らき☆すた】こなかがBBS【こなた×かがみ】 http //jbbs.livedoor.jp/anime/6076/ こなかがお絵描き掲示板 http //www13.atwiki.jp/oyatu1/pages/574.html 画像UPローダー(レス機能付)-本文に[http //]の文字列が含まれる場合投稿できません。 スパム回避のため、投稿時にパスワードが必要になりました。 投稿の際は、投稿欄一番上の「会員パスワード」の項目に「konakaga」と記入して下さい。 http //konakaga.me.land.to/cgi-bin/imgboard/imgboard.cgi ★週刊こなかが 『週刊こなかが』HP http //konakaga.com/index.html 『ネタバレありの感想スレが立ちました! 【週刊こなかが】らき☆すた書籍・感想スレ【ネタバレ注意】 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6076/1228149144 企画のきっかけは週刊KONA☆KAGAをご覧ください。 ★作品検索フォーム 検索 タイトル、作者様名などのキーワードで検索が可能です。 (and・or検索はResult画面より選択できます) ★作者別保管庫(現在802作品/最終更新日14/12/5) 作者別保管庫(1スレ目) 23作品+3 作者別保管庫(2スレ目) 15作品+6 作者別保管庫(3スレ目) 7作品+7 作者別保管庫(4スレ目) 8作品 作者別保管庫(5スレ目) 15作品+7 作者別保管庫(6スレ目) 28作品+1 作者別保管庫(7スレ目) 18作品 作者別保管庫(8スレ目) 23作品 作者別保管庫(9スレ目) 24作品 作者別保管庫(10スレ目) 21作品 作者別保管庫(11スレ目) 23作品+2 作者別保管庫(12スレ目) 31作品+2 作者別保管庫(13スレ目) 25作品+1 作者別保管庫(14スレ目) 20作品 作者別保管庫(15スレ目) 14作品+4 作者別保管庫(16スレ目) 13作品+1 作者別保管庫(17スレ目) 23作品+1 作者別保管庫(18スレ目) 21作品 作者別保管庫(19スレ目) 23作品+1 作者別保管庫(20スレ目) 13作品 作者別保管庫(21スレ目) 13作品 作者別保管庫(22スレ目) 6作品+4 作者別保管庫(こなかがBBS1スレ目) 41作品 作者別保管庫(こなかがBBS2スレ目/短編) 27作品 作者別保管庫(こなかがBBS2スレ目/長編) 37作品 作者別保管庫(こなかがBBS3スレ目) 70作品 作者別保管庫(こなかがBBS4スレ目) 100作品 作者別保管庫(こなかがBBS5スレ目) 81作品 作者別保管庫(こなかがBBS6スレ目) 53作品 作者別保管庫(こなかがBBS7スレ目) 17作品 SS作者一覧 小なた保管庫 ★作者別画像保管庫(現在261作品/最終更新日09/09/17) 画像保管庫(1-8スレ目) 36作品 画像保管庫(9スレ目) 7作品 画像保管庫(10スレ目) 6作品 画像保管庫(11スレ目) 13作品 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18 28 21) H6-43さんの作品を保管しました H6-43さんの作品を保管しました 小なたのページ発掘しました 現在234レス目まで保管 -- 名無しさん (2010-03-16 21 58 30) 208レス目までの作品を保管しました -- 名無しさん (2010-02-22 23 36 14) H5-912氏の作品を保管しました -- 名無しさん (2010-02-16 22 06 57) monoさんの作品を保管しました -- 名無しさん (2010-02-08 21 01 35) monoさんの作品を保管しました -- 名無しさん (2010-01-17 18 51 29) H6-43さんの作品を保管しました -- 名無しさん (2010-01-10 07 35 23) 本スレ132までの作品を保管しました ガレッガは文字数が多かったので二つに分けました H6-43さんの作品を保管しました(タイトル変更しました) H6-43さんとmonoさんの作品と小ネタをいくつか保管しました こんばんは、H5-912と申します。 自身の作品『Especially for you』の編集及び 『Escapade ~Especially for you after episode~』 の保管をいたしました。 よろしくお願いします。 -- H5-912 (2009-12-06 01 07 47) 保管して頂き、ありがとうございます。 失礼致します。 -- H5-912 (2009-11-30 23 57 49) H5-912氏の作品と小ネタを保管しました -- 名無しさん (2009-11-30 21 01 10) 「婦警こなた・スピード違反の出会い編」に投稿された、 作品に関係のない書き込みを削除いたしました。 -- 名無しさん (2009-11-28 09 04 41) 小ネタを3つ保管しました yo-koさんのALWAYSは冒頭部分と言うことで 一旦待つことにしました -- 名無しさん (2009-10-10 11 20 10) こんばんわ、H5-912と申します。 自身の作品『Crazy☆Rendezvous ~クレイジー・ランデブー~』 の内容をほんの少し修正致しました。 宜しくお願い致します。 -- H5-912 (2009-09-27 21 42 32) H5-912様のSSの保管場所の作成。 小ネタ2作品の保管。 及び、関連ページを更新いたしました。 宜しくお願いいたします。 -- yo-ko (2009-09-26 23 40 17) こんばんわ、H5-912と申します。 自身の作品『Crazy☆Rendezvous ~クレイジー・ランデブー~』 を保管致しました。 よろしくお願いします。 -- H5-912 (2009-09-26 22 41 01) H3-525様 保管ありがとうございます。 そして保管してくださった歴代管理人の皆様、ありがとうございました。 この場を借りてお礼申し上げます。 また何か機会があったときは、よろしくお願いします。失礼します。 -- 8-784 (2009-09-17 22 03 54) こんばんわ。 BBS5より mono様の作品『終わりも始まりもない』 小なたを2作品を保管いたしました。 よろしくお願いいたします。 -- yo-ko (2009-09-17 20 37 03) お疲れ様です。 8-784様の作品「いっしょに行こう」と「かが☆こな」を保管させていただきました。 それと「お知らせ」の情報を修正いたしました。 以上、よろしくお願いします。 -- H3-525 (2009-09-17 18 45 10) こんにちは、yo-koです。 私の作品『Any time』 h5-860様(初めての方みたいなので僭越ながらこちらのコテ番を付けさせて頂きました) の作品『こなたの必修科目』 小なたを2作品ほど保管いたしました。 よろしくお願いいたします。 -- yo-ko (2009-09-08 13 02 50) >お久しぶりです、こんばんは。 拙作の『ウィークリーな彼女』 本当に若干ではありますが内容修正させて頂きました。 >画像保管…… 8―784様の作品。 流れてしまいましたかね。 読み取れない…… 管理者様、保管をよろしくお願いいたします。 ではでは取り急ぎまして。 -- 名無しさん (2009-09-07 01 44 41) お久しぶりです。 拙作『手紙』の内容を一部修正致しましたので、 報告致します。今後も何回か追加修正することも あると思いますので、その時はよろしくお願いします。 -- 1-166 (2009-09-03 00 32 10) お疲れ様です。 以前このまとめサイトの画像掲示板の管理をお手伝いしていた者です。 スパム対策のため、画像掲示板に投稿する際「投稿用パスワード」が必要になりました。 (投稿画面には会員パスワードと表示されています) パスワードは、当wikiトップページの画像掲示板へのリンク部分に記載しております。 お手数ですが一度ご確認下さいますようお願い申し上げます。 また、今回はパスワード制にすることで対策としましたが 今後またスパム投稿があるようでしたら掲示板の置き換えも視野に入れております。 以上、宜しくお願い致します。 -- 名無しさん (2009-06-13 12 47 42) お疲れ様でした。 保管作業、本当にありがとうございました。 暫く管理が停滞してしまい申し訳ありません。 私事で恐れ入りますが、最近余裕がなくなってしまいました。 ここや保管庫がこなかが好きな方の集う場所になってくれればいい、そういう方々を応援していきたいという気持ちは変わっていないつもりです。 しかし、実生活を含めてなのでなおさら恐縮なのですが、環境や状況の変化があり、 情けないですがこれまで通りの管理を継続するだけの余力が、今の私にはちょっと残っていません。 勝手をいって申し訳ありませんが、少し管理活動を休ませていただこうと思います。 BBS保管庫の管理権を有するサポーターさんにお願いしましたので、 削除等の管理行為が必要になる場合はサポーターの方々に対応していただくようお願いしましたが、 保管作業は大量かつ煩雑な作業でありますので、申し訳ありませんがお手すきの方や、作者さんご自身が、 すすんで保管作業をしていただけますよう、お願い申し上げます。 jさんの件については、引き続き私のほうで対応するつもりです。 そのほか、何らかの緊急の事態が起こりましたら、 用件だけでも結構ですので、kasayasan@mail.goo.ne.jpまでご連絡ください。 皆さんのご協力を、よろしくお願い申し上げます。 また管理を続けていきたいと思っていますが、このたびはご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。 -- かさ (2009-06-10 23 22 18) j氏の泡沫の夢を一時削除しました。 経緯につきましては別館スレをご覧ください。 ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。 -- かさ (2009-06-02 00 05 15) いつも編集・訂正していただきありがとうございます。 どのページが追加・訂正されたかこちらで把握しておきたいので お手数ですがページの追加および、編集を行われた際は 一言でもかまいませんので、その旨こちらのフォームで 必ずお知らせくださいますよう宜しくお願い致します。 又、当まとめサイトの保管方針といたしましては 作者さんご自身が「保管をしないでほしい」と仰る作品以外、 すべて保管して行く方向で進めて行きたいと思います。 ご理解宜しくお願い致します また、「こうしたほうが良い」「○○してほしい」等の、保管庫に対するご要望がありましたら、どうぞこちらにお願いします。 また、wiki編集に関する技術的な助言などがございましたら、ご教授いただけますととても助かります。 これからも、こなかがスレを盛り上げるお手伝いをさせて頂きたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。 -- かさ(管理人) (2008-12-07 05 05 10) ★リンクについて このWikiはリンクフリーです。 ただし、リンクされる際は必ず トップページhttp //www13.atwiki.jp/oyatu1/へお願い致します。 ★転載に関して このWiki内の文章および画像は無断転載禁止です。 転載をご希望の方は、使用目的を必ずお書き添えの上 メールにて管理人までお問い合わせ下さい。 こちらから作者さんに打診した上で、結果をお返事致します。 ★投稿時無題の作品に関して なるべく内容を想像しやすいよう、老婆心ながらこちらで仮題を付けさせていただききます。 (作品を読ませていただく必要があるため、『無題で保管→後ほど仮題を決定』となる場合がございます) もし題名をお考えの場合は、お手数ですがメールにてご連絡をいただければ幸いです。
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夢。 夢を見ていた。 あ、別に某たい焼き少女の真似じゃないよ? それに、こんな夢を見ることになっちゃったのは、結局自分のせいなんだし。 まさか、かがみに高校一年生の頃の話を振っただけで、あんな展開になる とは思ってなかったからね。 そう、あんな昔話をしただけで―― ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「はぁ~、こりゃ完全に待ち合わせ時間オーバーだね。 参っちゃうよ」 誰かに話しかけている訳でもないのに、私は移動中の電車の中で つり革に揺られながらぽつりと呟いていた。 加えて車内は朝のラッシュに 突入していることもあり、通勤や通学の人達でごったがえしていた。 その光景は高校に入学してから間もない私の気を滅入らせるには、 大きなお釣りがついて来るほどに充分過ぎるものだった。 (う~。 よりにもよって、こんな日に寝坊しちゃうなんて、 最悪だよ……。 二人になんて言えばいいんだろ) そして、私をへこませているもう一つの原因。 それは自分にあった。 実を言うと、今日から新しい友達であるつかさ達と一緒に登校する ことにしたのだが、待ち合わせ場所に派手に遅刻しそうなのだ。 しかも、まさか自分から言い出した待ち合わせの時間に遅刻するなんて。 つかさはまだしも、柊さんは全力で怒るだろうなぁ。 ……って待てよ。 (あれ? そういえば、つかさの方は名前で呼んでるけど、かがみは……) ここに来て、私はかがみの方だけ苗字で呼んでいることに気が付いていた。 といっても、つかさに紹介されてからまだ一週間も経ってないから、当然と 言えば当然なのかな。 ……よし! 今日からはちゃんと名前で呼ぼうっと。 「ま、それ以前に今回の件を許してもらえるかなぁ。 そこが問題だよ」 再びぽつりと呟いた私をよそに、電車が目的の駅のホームに到着していた。 少しグラリと揺れながら駅のホームに収まった電車のドアが一斉に開く。 と同時に、今日の待ち合わせの相手達が私の目の前に現れていた。 似ているようで全然違う特徴を持った双子の姉妹、かがみとつかさだ。 そして、次の瞬間二人と目線が合った。 私はとっさに頭を掻きながら、 「ごめんごめ~ん。 遅れちゃったよ。 朝の準備で少し手間取っちゃってさぁ」 という様な感じで謝っていた。 う~、我ながら下手な言い訳だなぁ。 かがみに至っては相当怒ってるみたいだし。 どうしよう、ここはとりあえず…… 「あ、こなちゃん。 おはよ~」 って、この微妙な空気を完全にスルーですかい! さっすがつかさ。 う~、まあいいや。 これに乗じて、二人に挨拶を…… 「おはよっ、つかさ! あと……。 え~っと、柊さんもおはよ~」 「えっ!? お、おはよう」 あっ、あれぇ~? 何で苗字で呼んじゃったんだろ、私。 やっぱり、一度定着した呼びかたって変えづらいのかな? だけど、かがみの方はどう思ってるのかなぁ。 今だって色々考え込んじゃってるみたいだし。 「どうしたの、お姉ちゃん。 具合でも悪いの?」 いやいやつかさ。 それ多分私のせいだからさ、私の。 よ、よ~し。 それじゃあ今度こそかがみをちゃんと名前で…… 「ううん、なんでもないわよ。 とにかく、早く駅から出ましょ。 じゃないと、ホントに遅刻しちゃうもの」 「そうだね。 それじゃあ急ごっか、こなちゃん」 「はいは~い、柊さんもああ言ってるしね」 ぐわぁ~! 何でまた失敗してるのさ~。 朝日が目に染みるよ、全くさ。 だけど、このままじゃどうしようもないな~。 「よし、それじゃあさっさと急ぐわよ! ……あ、言い忘れてたけど、私今日は学級委員会で遅くなるから、 放課後になったら先に二人で帰っててくれないかな?」 「うん、いいよ~。 ね、こなちゃん」 「えっ? あ……うん」 その後、私はしっかりと自覚できる程もやもやした気持ちで 一日を過ごすことになった。 授業でうっかり寝ていた時も、 チョココロネを食べていた時も、雑誌を見ていた時も、 そのもやもやを拭うことは出来なかったわけで―― 「こなちゃん。 もう放課後だよ、早く帰ろ?」 「ん……。 もう放課後かぁ」 結局、あっという間に放課後になってしまった。 変わった出来事といえば、世界史の授業で居眠りしていた時、 担当の黒井先生にコツンとやられたくらいかな。 でも、あの先生ど~も私と似たような匂いがするんだよね。 今度じっくりと話してみよっかな。 それに…… 「こなちゃん、大丈夫? なんかぼ~っとしてるけど」 「えっ? ああ、大丈夫だよつかさ。 心配しないで。 それより、後は肝心な人を待つだ……」 そう言いかけた瞬間、私は自分の机に両手をついていた。 しまった。 かがみは今日、これから学級委員会に出るんだった。 だから、今日は一緒に帰れないって今朝私たちに言ってたじゃん。 う~、これじゃあかがみとうち解けられないじゃないのさ~。 って待てよ、うちのクラスの方の学級委員って確か…… 「そっ、そうだっ!」 「わっ。 びっくりしたぁ」 「つかさっ! 高良さんってまだ近くにいるでしょ?」 「う、うん。 ていうか、もの凄く近くにいるよ。 ほら」 つかさが反射的に指さしたすぐそこに、彼女はいた。 容姿端麗、品行方正、加えて眼鏡っ娘という、まさに委員長 というキャラがそのまま具現化したような人だった。 どうやら学級委員会で使う資料の準備をしているらしく、 机の中から数枚のプリントを出して鞄に入れているのが見えた。 「高良さ~ん。 ちょっと頼みたいことがあるんだけど」 おもむろに高良さんの机に向かって呼びかけてみる。 すると高良さんは少し申し訳なさそうに左手を頬に 当てながら、私の方に振り向いていた。 「すみません、泉さん。 これから委員会がありますので、 ご要望にお応え出来ない可能性が……」 「いやいや~、そんなに考え込まなくたって大丈夫だよ。 その委員会に出てもらうっていうのが重要なんだから」 「えっ、そうなんですか? それなら大丈夫かもしれませんが……」 高良さんは、呆気にとられた様な表情で私を見つめていた。 ま、仕方ないよね。 私だって今の今までこんなこと考えつきも しなかったんだから。 さて、後は…… 「あ、あとつかさにもお願いしたいことがあるんだけど」 「いいよ~。 私に出来ることがあったら、何でもするよぉ」 「ありがとっ、つかさ。 それじゃあ本題に入るね。 実は……」 今さっき思いついた妙案を二人に説明していく私。 春眠を繰り返していた授業中も、このくらい頭が回ればいいのに。 「ていう訳なんだよ。 どうかな?」 「うん、いいよ~。 お姉ちゃんとこなちゃんの為だもん」 「ええ。 そういうことならお力になりますよ」 「ありがと~、二人とも。 恩に着るよ。 それじゃあ早速行動開始だぁ!」 今考えると、この頃の自分はものすごく照れていたんだと思う。 だって、二人にこんな無茶な頼み事をしてまで、かがみと話す 機会を作ろうとしていたのだから―― 「遅いなぁ、高良さん。 何かあったのかな?」 行動を開始してから約一時間後、学級委員会が行われていた 会議室の廊下の壁に寄りかかっている私がいた。 そして、さっき閃いたこの作戦についての概要を確認してみる。 私が考えた作戦はこうだ。 まず高良さんには委員会が行われる 会議室でかがみをほんの少しだけ足止めしてもらう。 そして頃合いを見て高良さんの方が先に会議室を出てその直後に 私が中に突入して二人きり。 といった感じだ。 そして、つかさには予定通り先に帰ってもらうことにした。 明日になったらたくさんお礼を言わなきゃね。 (そんでもって、後は私がちゃんとしなきゃね、よしっ) ぐっと右手を握りしめて改めて気合いを入れ直す。 そんな最中、目標の会議室のドアが静かに開き、 中から出てきた高良さんと目が合っていた。 私は、握りしめたままの拳を素早くパーの形に戻し、 そろそろと高良さんに近づき、ひそひそと話しかけた。 「どう、うまくいった?」 「ええ。 かがみさんはまだ会議室の中にいらっしゃいますよ。 ですが、私はこれといってなにかしたわけでは……。 実を言うと、かがみさんの方から私に話しかけて来てくれましたので」 「あ、そうだったんだ~。 それで、どんな話をしたわけ?」 私がそう聞き返すと同時に、高良さんは少し複雑そうな顔をしながら、 なにやら考え込んでしまった。 しかし、それからジャスト五秒後。 高良さんは急に元の笑顔に戻ると、 「ふふっ、秘密です」 と言いながら、人差し指を唇に軽く当てていた。 ……何か、ものすごい勢いで誤魔化されたような気がする。 だけど、そんな満面の笑顔でそんなこと言われたら、 逆に聞き返せないじゃないか~。 まあ、ここまで真剣に 協力してくれたんだし、いちいち確認するのも失礼ってもんだよね。 「……よぉ~しっ! じゃあそろそろ行ってくるよ」 「頑張って下さいね、泉さん」 「うん! 色々ありがとねっ」 ぶんぶんと手を振って高良さんに別れを告げた私は、 足早に目の前にある会議室のドアに手をかけた。 刹那、言葉では表現できない緊張感に襲われ、私は唾を飲み込んだ。 この先に、かがみがいる。 ごく最近に知り合ったばかりの新しい友達。 だけど、迷っている暇なんてない。 前に進まなきゃ。 そう思った瞬間、 私はドアを開けていた。 と同時に、正面からかがみの声が聞こえていた。 「い、泉さん?」 「あっ。 やっと見つけたよ~」 うっ、いきなり第一声が、『見つけたよ~』 はまずかったかな。 何かもの凄い違和感が。 「見つけた~もなにもないわよ。 つかさと一緒に帰ったんじゃなかったの?」 「いや~、なんとな~く柊さんのことが気になったと いうかなんというか……。 あ、ちゃんとつかさには 事情を説明してきたから、心配しなくていいからね」 懲りずに名前で呼んでしまっている自分がいたが、 話題を維持するので精一杯でそれどころでは無い。 それに、朝の時は悪い思いさせちゃっただろうし、 ここは正直に…… 「まぁ~、なんて言うのかねぇ。 朝の時の柊さん、 少し様子がおかしかったからさ。 それで……」 「えっ? それでこんな時間になるまで私を待ってたわけ!?」 私自身、まさかこんなに時間がかかるとは思ってもいなかった。 ま、こうやってちゃんと話せているんだから時間なんて関係ないよね。 ……ゴールデンタイムのアニメだってちゃんと録画予約頼んできたし。 「ま、そういうことになるよね。 思ってたより待たされちゃったけど」 「なるほど、そういうことだったわけね。 だけど、つかさには改めて説明してあげた方がいいわよ。 あの子だって、泉さんと帰るの楽しみにしてたハズだから」 「うっ…… そうだね、つかさには明日話しておくよ」 ……かがみの言う通りだった。 私一人のわがままのせいで、 こんなことになっちゃったんだし。 ううっ、ダメダメだよね、私。 一方、かがみの方はというと、顔を曇らせたままの私をじっと 見つめた後、ふうっと息を吐きながら静かに喋り出していた。 「……まっ、ちゃんとわかってくれたみたいだし、 朝のことも含めて全部許してあげよっかな」 「えっ、ホント!?」 瞬間、自分の顔が一気に綻んでいくのを感じた。 それだけ、かがみがかけてくれたその一言が、 嬉しくてたまらなかったってことなのかな。 「うん。 だから、もう帰りましょ」 「そうだね。 それじゃあ、早くバス停に行かなくちゃ。 もうすぐ、バス来ちゃうもん」 「……」 さりげなく歩き出しながら伝えた私の言葉に対して、 不思議とかがみからのリアクションが無かった。 振り返ってかがみを見てみると、青紫色の瞳を宙に 浮かせたまま、何やら物思いにふけっているようだった。 「どったの? ぼ~っとしちゃってさ。 早くしないと置いてっちゃうぞ~」 「あ、ちょっと待ちなさいよ~」 私の一言で我に返ったかがみは、急いで鞄を 持ち直しながら、歩幅を合わせて一緒に歩き始めてくれていた。 そんなかがみのさりげない行動に優しさを感じながら、 私達はスクールバスの発車所へ向かうのであった…… 「ふう、やっと駅まで来れたわね」 「そだね~。 結構時間かかったよね」 傾きかけた夕日が斜めに差し込み始めた頃、私は駅の ホームに立っている柱に身を預けながらかがみと話していた。 ホームの周りは帰宅ラッシュの影響でにわかに混み始め、 朝の時とは違った雰囲気に包まれていた。 (それにしてもかがみって、アニメや漫画の話には少し疎いみたいだね。 ……ふふ、まあこれからちょっとずつレクチャーしてけばいいかっ) 自分が乗ろうとしている電車の案内放送を聞きながら、 バスの中でのかがみとの会話を思い出し、自然と頬が緩む。 だけど、もうすぐお別れだ。 なんか寂しい。 「んじゃ私、この電車に乗ってくからさ。 柊さんも、気をつけて帰ってね」 「あ、うん……」 それに、結局かがみのことを名前で呼べなかった。 何度も勇気を出そうとしてるのに。 だから私は…… 「こっ、こなたっ!」 「えっ?」 一瞬、時が止まった。 柱に密着させている背中がじんと熱くなる。 予想外の言葉。 その言葉の力に影響された私は、ただ呆然と 立ちつくすしか選択肢がなかった。 「あっ、明日は、ちゃんと遅れずに来なさいよね。 そうしてくれないと、私やつかさが困るんだから!」 駅の雑踏がさらに増していく中、かがみは緊張した素振りを 一切隠すことなく、か細く声を震わせながら私に向かって喋っていた。 (そっか。 かがみも私と同じ気持ちだったんだ……) 途端、自分の頬が赤く染まっていくのがわかった。 だけど、それ以上にかがみが私のことを名前で呼んでくれた ことが嬉しくて、私はいつものテンションで返事を返すことにした。 「そうだね、今度はちゃんと早起きするよ。 それに――」 そこまで言いかけた時、電車がホームに到着していた。 騒音が辺りに響き、思考が一時中断される。 だけど、一度伝えようとした気持ちは止まることはなく、 私は躊躇することなく息を吸い込んだ。 「それに、これから楽しくなりそうだよね! できれば、来年は同じクラスにでもなって 一緒にいられたら、いいよね!」 ここで、一旦息継ぎ。 後は、さよならの挨拶だ。 「ま、来年の話だけどさ。 あっ、それじゃあ私は先にこの電車で帰るから」 「えっ。 あ、ちょっと!」 たった今自分が言ったことに恥じらいを感じながら、 私は目の前の電車に飛び乗る体制に入った。 ……そういえば、今かがみが何か驚いてたような? よ~し、それならもっと驚かしてあげなきゃね。 そう決意した私は、車内に入ると同時にくるりとかがみの 方を向いた。 そして、今までどうしても伝えられなかったかった 言葉を、初めて口に出していた。 「う~んと、今日は楽しかったよ、色々話せてさ。 ――それじゃあまた明日ね、かがみっ!」 「あっ……」 次の瞬間、私の中のもやもやは完全に消えていた。 もしかしたら、それはかがみにも同じことが言えてるのかな。 だってさ。 かがみの顔、すっごい幸せそうなんだもん。 ふと気が付くと、かがみが私のことをじ~っと見つめていた。 そして、言葉が紡がれる。 私たちだけの、さよならの挨拶。 「うん。 また明日ね、こなたっ」 かがみの優しい声が聞こえたのとほぼ同時に、電車のドアが閉まっていた。 そして、ホームにいるかがみの姿が見えなくなるまで手を振り続けた。 発車時に電車の中にあったざわめきはだんだんと消え始め、私は 朝と同じようにつり革に揺られながら、今日の出来事を振り返っていた。 (かがみ……か。 これから長い付き合いになりそうだね。 あ、もしかしたらかがみの方もそう思ってたりしてねっ) ―――――――――――――――――――――――――――――――― そして、その予感は見事に的中。 まあ、大学二年生になってまで、 こんなに密着しながら一緒に寝ることになるとは思ってなかったけどね。 ……結局、今思うとこの頃からかがみフラグ全開で立ててたんだね、私。 そう考えると、多分この夢を見たことは偶然なんかじゃない。 だって、おかげではっきりしたもん。 私の、本当の気持ちがさ。 夢の果てに得たものは(後)へ続く コメントフォーム 名前 コメント
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118 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/13(日) 22 51 39 ID KyhcABhO 今かららき☆すた見直すんだが何話おすすめ? 皆もたまには本編観ようぜ 119 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/13(日) 23 21 47 ID KyhcABhO 取り合えず鉄板の七話観た 普通に面白いな… この回はパロもさりげないし 120 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/13(日) 23 43 04 ID wMI+EGZR じゃあ俺は一番好きな13話観てくる。 こなたに男が!?って大口あけるかがみにこなたが跳ねる最萌カット さらにかがみのデレが見れるバレンタイン話は何度見ても良い。 121 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/13(日) 23 52 19 ID KyhcABhO 120 さんくす 一話観てるんだが終わったら十三話観るわ 122 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/13(日) 23 59 39 ID PdfGtKb+ 原作も忘れてはいけない。 ちょっとしたことでこなかが変換出来るネタてんこ盛りだ。 123 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 00 08 02 ID MIXPbMUv よし。13話の後は15話、21話見て身体が温まってきたら 最初からまた全話見直して、インターバルに原作、デザートにゲームで パーフェクト! 124 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 00 44 46 ID PuES4uah コミックス3巻 p105 「狙い目」 こなた「ふー、よくやったっ 私にしては頑張った!!」 こなた「というワケでちょっとゲームをねー…」 トゥルルル そうじろう「こなたー、かがみちゃんから電話だぞー」 こなた「というワケでちょっとゲームを――」 トゥルルル ゆたか「お姉ちゃーん、かがみ先輩から電話だよ~」 かがみ『あ もしもしこなた?』 こなた「かがみさぁ、私の部屋に監視カメラとかつけてないよネ?」 かがみ『はぁ?何で知ってるのよ』 こなた「え……」 125 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 08 12 13 ID qp2FcEXY ちょっとみんな、原作5巻P113第24回 ミッションの上の方にあるかがみの絵を見てくれ。正確にはかがみが腰掛けているものだ。 何を思ってかがみはこれに腰掛けているのか。 126 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 08 49 27 ID q6MjJbMA 23話の6分(適当)あたりが好きかな なんか普通に「かっがみーん♪かっがみーん♪」で嬉しそうにじゃれついてるし、 かがみも「仕方ないわねー」とか言いながらこなたに付き合っちゃってるし まさにこなかがじゃなかろうか 127 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 09 19 15 ID f8734QBL 125 そりゃもちろん「こなたは私のもの」と回りに誇示してるんだと思うよ つまりは、オマエラ近づくんじゃない、と。 129 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 15 33 43 ID YgN5kzK2 みんながこなかが好きになれば、世の中平和になると思うんだ・・・ 130 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 15 44 11 ID xvp26GiI 129 こなかが派とかがこな派が血で血を(ry 131 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 16 26 34 ID f8734QBL 130 かがこなでもこなかがでも、どちらでも美味しくいただける自分は、 もしかすると、その両陣営からも狙われる立ち位置になってしまうのだろうか。 132 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 17 20 54 ID JJVaHezP 131 戦争を根絶するために武力介入する私設武装組織とかでどうだろう 133 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 17 29 41 ID v5xrP8Pb 132 ソレナンテ・ビーイング? 134 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/07/14(月) 17 47 08 ID JJVaHezP さしあたって、コナカガル・ビーイングでw
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卒業式。新たな旅立ちのためへの一つの区切り、つまり今まで過ごした日々との別れ。 過去二回の同じような儀式は正直に言ってほとんど覚えていない。 それはきっと小学校で過ごした毎日と、中学校で過ごした毎日を失うことにあまり思い入れがなかったからだと思う。 友達がいなかったというわけでもなく、早く大人になりたかったというわけでもなくて。 ただ単純にその日に何かが変わったのだと感じることができなかったからだ。 だけど今日は違う。忘れられない日になる。 つかさが予想通りに泣いていてなんとなく羨ましいなと思ったこと。 大人びたみゆきさんの、年相応の可愛らしい泣き顔。 名前もろくに知らない同じ境遇の人たちの弾んだ空気の中に確かに含まれた別れを前にした様々な思い。 それらはどれもこの日に相応しく、これこそが卒業なんだと思わせるけどそういう意味ではない。 今日という日に私は大切なあなたと一つのけじめをつけようと思います。 数百という卒業生が一堂に会した体育館を一歩外に出てしまうと、いろんな響きを乗せた声は吹き抜ける風にかき消される。 私は人の涙を見て楽しむような趣味はなくうるさいのも嫌いだから、たとえ日陰で草木に囲まれた場違いなところに佇んでいるのも関係ない。 冬の間はすっかり裸になってしまっていた木々も今は緑の葉をつけているあたりに一年のサイクルを思わせる。 葉をつけ花を咲かせ、そのどちらも散らせたあと、また時期がやってくると繰り返す。 ほとんど変わることのない、何年にもおよぶ循環。でも私たち人間はそうはいかない。 一年もあればどれだけ変わることができるだろう、たった一日24時間だけでもう前日の自分ではなくなっている。 身体的な特徴はまだ変化しにくいものだけれど、心というものは些細なことで変わってしまう。 それが悪いものだなんて思ってないけど、永遠があってほしいと願ってしまった。 願いは自分で叶えるものであるが、私のそれは儚い希望に過ぎない。 それが二人にとって一番なのだと、わかるはずもない気持ちを自分の物差しで考えていた。 「ごめん、待った?」 思い思いに写真を撮ったりこれからの約束を話し合うのが通常とするこの時間にわざわざ人の寄りつかない場所に来る者などいない。 私の待ち人柊かがみがそこにいた。 しばらく時間をおいたのは彼女も例に漏れず友と思いを交わしていたのだろう。 それを私に咎める権利はないし、ただ用件を告げて終わりというような急ぐ気持ちはさらさらなかった。 「気にするほどでもないよ」 「確かに。待ち合わせに遅れるのはあんたの専売特許だもんね」 どんな状況でもこうしてふざけ合うことができるのはとても居心地が良い。 この日の当らない場所に不釣り合いな、今日巣立っていくという自覚のある強い眼差しに思わず見惚れていたことに気づかれないように。 まだまだ子どもだと思われるとわかっていながらふてくされた表情を作る。 もう一度、かがみは笑った。卒業式の余韻を残した綺麗な笑みだった。 それに目を奪われ、体の奥から熱が込み上げてくるのは仕方のないこと。 移り変わりやすい心なれど、大きく膨らみすぎた気持ちはそう簡単に無視できるものではない。 風になびく二つに分けた髪を抑えながら、かがみは何も言わずじっと私の言葉を待っていた。 「今日で卒業だね」 「そうね」 「三年間、かがみと過ごした毎日は楽しかった」 出会った当初は今のように自分をさらけ出すことができるなんて想像もしていなかった。 オタクだなんだ、勉強もしないだらしない私を、それでも全て受け入れてくれたかがみ。 二年の時の数えきれない思い出。お祭り、海、お泊り会、初詣など。 たとえ大層なイベントごとがなくとも、通学路や休み時間、放課後といった一緒に過ごした時間は今も輝いている。 ただあなたといられるだけで、私は幸せな日々を送ることができたんだ。 「そうね、私もこなたと一緒に過ごした高校生活は忘れられないと思う」 一年以上前だったら「つかさとみゆきと……ついでにあんたも」って言ってただろうな。 かがみが正直にそう言ってくれることは嬉しくて、またくすぐったさもある。 慣れない素直に気持ちを伝えることにどこか恥ずかしそうなかがみに、私は今一度感謝の気持ちを伝えた。 「奇跡みたいなもんだよネ。かがみと出会えたことに感謝しないと」 運命だとかは信じないし、奇跡なんて安っぽい言葉も嫌いだけど、この出会いは何物にも代えられぬ大切なもの。 柄にもない私の言葉にかがみは笑う。何の屈託もない可愛らしい笑みだった。 その笑顔を見てまだ私は考え直すべきだという思考がよぎる。 確かにこの笑顔があれば他に何もいらないと思っていた時期もあった。今でもそう信じたい気持ちがある。 だけど遠く離れてしまわぬうちに、笑顔を変えてしまわぬうちに。 「かがみ、ありがとう。それから……ごめん」 「えっ……?」 ひどく不快な静寂を紛らわすように、ひと際強い風が音を立てて吹き抜けた。 去年の夏頃から私たちの関係は友達から恋人へと変わっていた。 同性愛ということも気にかけることなく、間違っていると諭されても頑として譲らないで。 実際反対らしい反対はされなかった。確かに幾度となく話し合ったけれど、一方的に拒絶されたわけではなく想いの確認という意味で。 だから身近な人は少なからず認めてくれる感じがあって、私たちもそれを裏切るつもりはなかった。 キスもしたし、体の交わりもあった。想いは冷めるどころかどんどん強くなっていった。 ……それでも少なからずあった不安はぬぐえずにいた。 今でも、この先も残るだろうかがみへの想い。それは嘘偽りなんかじゃない。 そもそも受け入れるのに生半可な覚悟では済まないだろう将来を予測した上で告白を受けたのだ。 ここにきて足りないのは何なのだろう。それはきっと自分の強さだ。 秋頃、もう進路をどうしようなんて迷っている場合じゃない時期、それでも私は迷っていた。 私を除くクラスの全員が心に決めた目標へ向かってひたすら突き進む日々に、私はあてもなくさまよっている。 動機はとても不純なものだ。大学に入っておけばなんとかなる、かがみが勉強するから私もしようと。 一緒に遊ぶ余裕がなくて勉強に時間をあてることがほとんどだし、今すぐやりたいことが見つかるわけでもなくて。 ちゃんと自分に合ったレベルのところには合格できた。確かに努力した証は残っている。 でもそれは、おそらく社会に出ていく上で何の足しにもならない脆いものだろう。 「かがみは弁護士を目指して頑張っている。大変だろうけどかがみならできると思うよ」 つかさもみゆきさんも、それぞれが選んだ道をしっかりと歩み続けて行くことだろう。 でも、それには本当に大変な労力と時間を費やさなければならないだろう。そこに私がいてはダメなんだ。 「別に会おうと思えばいつでも会えるでしょ。今までと変わらないんだし」 どちらかが一人暮らしを始めるわけでもないから、まだ延長線上にいる。 それは言ってしまえば甘えに過ぎない。いつまでもかがみに寄りかかっていられるという甘え。 これからさらに勉強量が増えるかがみと、たぶん余計にできた時間を遊びに回す私。 もともと受験勉強の段階から開いていたその差はきっと埋まることはない。 今までだってそれを卑下されたことはないけど、かがみの優しさでしかないと知っているから。 そして、一番の問題は時間じゃないんだ。 「法律で守られていない以上自分の身は自分で守らなきゃいけない。でも私たちにはまだそんな力ないでしょ」 「それはっ、今すぐどうにかなる問題じゃないじゃない……っ」 かがみの悲痛な、あまり見ることのできない強い表情にひるみそうになる。 だけど、やっぱり一時の感情には流されてはいけないと、それはかがみのためにならないと言い聞かせた。 ──かがみのためとか言って、自分が傷つきたくないからじゃないの? 人の心なんて計り知れないものだ。もしかするとこの選択が一生かがみの心に残るものになるかもしれない。 そして私自身の心にも。すでに大きな痕を残しているのだから。 だんだんと離れて行って会えなくなるのが怖い?違う、そんなんじゃない。 本当は離れていても心は繋がっているんだと、そう信じたい気持ちがあるんだ。 「五年後、十年後になるかわからないけど、一人前の女性となったその時でも」 今から過ごす大学四年間を何を犠牲にしてもあなたを想い続ける覚悟は私にできているのかな。 あなたは何を犠牲にしても私のことを思い続けていてくれていると自惚れてもいいんですか。 信じたい気持ちは今でもある、ちっぽけな覚悟も持っているはずなのに。 心という移り変わりの激しいものは、私自身が持つ気持ちの大きさでは信頼に足らなかったのだ。 「変わらずに好きだと言ってくれるのなら、一生を共に生きると誓うよ」 でも、私が胸を張ってあなたに会いにいけるようになるまでは。 「親友だったあの頃の私たちでいよう。これは別れじゃなくて、強くなるための契り」 ただ恋人から親友に戻るだけ。今日が最後ってわけじゃない。 まだ見ぬ未来、あなたの隣に立っているのは私であってほしいと望むけれど、もっと相応しい人もいると思う。 私の中に残り続ける火種は、消さないで代わりに糧とするから。 対等な人間であるために、隣に立って幸せにすると堂々と生きて行くために。 世の中に生きる一人の人間としての挑戦、これからもう二度とないかもしれない恋人の証が始まりの合図。 この熱さは一生忘れることができないだろうと、澄んだ青空の下、思っていた。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b 再び関係が戻る事を願う限りです! -- 名無しさん (2023-08-07 00 07 26) 微妙。 -- 名無しさん (2010-04-07 09 06 16) いつもかがみの隣にこなただ!! -- 名無しさん (2009-09-01 20 27 10) せつねぇ・・・でも数年後、かがみの隣に居るのはこなたです! GJ!! -- kk (2009-08-08 00 59 14) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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―――2月14日。 恋心を抱く女の子が、意中の相手にチョコレートを送る日。 それが今日、聖・バレンタインデー。 ……自分で言うのも恥ずかしいけれど、私もその一人で……。 とある夜に、こなたが『俺の嫁』だからよ、と言った私だけど、女の子として付き合ってる相手に贈りたいのよ、やっぱり……。 それも……できれば、手作りチョコ。 工夫とか出来ないし、市販のより味は悪くなっちゃう……と思う。 でも、愛情をお金で賄うのは無理よ! ……きっと……。 私は、時計を見た。 短針は0と1の間、長針は3を指している。窓から見える外の風景は、黒一色。 つまり、AM0:15 学校の準備をしなきゃいけない時間まで、後約7時間足らず。 ……まだ、肝心のチョコは出来てない。 一週間前からつかさに協力してもらって、勉強の合間をぬって練習してきたけど、やっぱりなかなか上手くいかなかった。 頭ではわかっているけど、実践出来るだけの技術が私にはない。 何で私はこんな料理出来ないんだろ……。 思わずため息がこぼれる。 やっぱりつかさに手伝って………って、それはダメ……。 ―――数時間前。 「お姉ちゃん、本当に大丈夫?」 「自信はないわ……。けど、やらなくちゃ」 「でも、今まで一人でやったことないんだよ?」 「うん……。だけど、これは私自身の力で作らなきゃダメなのよ。完全に自己満足なんだけどね」 「お姉ちゃん……」 「こなたに思いを伝える物だから、私一人でやりたいの。わざわざ言ってくれたのにごめんね、つかさ」 「ううん、いいよ。私こそ、何にも考えないでごめんね」 「何言ってるのよ、つかさは私たちのこと、よく考えてくれてるわ。つかさとみゆきがいてくれなかったら、今私がこうしてチョコを作っていられることはなかったわよ」 「そ、そう言われると、照れるなぁ……」 「二人のためにも、こなたのためにも、そして私のためにも、頑張りたいの」 「えへへ、お姉ちゃんがお料理でこんな頑張ってるの初めてみたよ。こなちゃんも、きっと喜んでくれるよ」 「ば、バカ、からかってくる、の間違いでしょ!」 「あはは、お姉ちゃん最近可愛くなったよね」 「はぁッ!?突然何わけわかんないこと言ってるのよ!?」 「わけわかんなくないよ~。実際そうだしね~♪お姉ちゃん、頑張ってね!」 「ちょ、ちょっとつかさ、言いっぱなしのままいかないでよ……って、行っちゃったし。……時間もあんまりないし、作り始めなきゃ」 ―――そして今。 うう……静かに混ぜるってあれだけ言われてたのに、忘れるなんて……。 つかさといるときはできてたのに、私一人になったら何であんな慌てちゃったんだろ……。 ―――冷やす時間も考えたら、これが最後。 今度は、ミスしないように……。 「なんか凄いねぇ。受験真っ只中の人もいるのに、空気がいつもみたいに殺気じみてないよ」 こなたが、自分の教室に入る直前に言う。 「そうね。やっぱりみんな、多かれ少なかれ期待してるんじゃない?」 「かがみもその一人かな~?」 こなたが、ニヤニヤしながら私を見る。 「う、うるさい。そうゆうのは黙して語らないものよ」 「デレながらも否定しないかがみ萌え♪」 「へ、変なこと言うな」 相変わらずニヤニヤしながらこなたは私を見て言う。 「ね、かがみ」 「何?」 こなたが突然私に近づき、背伸びして耳元でそっと囁いた。 ――――――放課後、教室来てね。 「う、うん……」 私は顔が熱くなるのを感じながら、小さく頷いた。 満ちた月が空に浮かんでいた『あの』夜。 私とこなたの恋人としての関係がスタートした。 まだ私たちの関係を知る人は多くない。 つかさとみゆきとこなたのご両親とゆたかちゃん、そして私の家族。 私たちは、お父さん、お母さん、姉さんたちにちゃんと関係を伝えた。 最初はみんな驚いてたし、先のことを諭すようなことも言われた。 でも、私とこなたの意志の強さをだんだん理解してくれて、最後には私たち二人の関係を認めてくれるだけでなく、どんな状況でも私たちの味方になってくれるとまで言ってくれた。 あのときは嬉しくて、みんないるのに涙が止まらなかったっけ……。 こなたもこなたで、私をからかいながらも、目に涙を溜めてた。 やっぱり、一番身近な人が味方になってくれるのは、とっても心強い……。 ありがとう、お父さん、お母さん、姉さんたち―――。 日下部と峰岸にも伝えた。 「なんだよ、やっぱり柊はちびっこの妻だったのかよ」 と日下部言ってきたので、私はすかさず返す。 「こなたが私の嫁なのよ。勘違いしないでよね?」 「ひ、柊……」 私の言葉に、日下部は何故か呆然としている。 「ん~?どうかした?」 「ずいぶん惚気てるな……」 「それを言うなら、峰岸のほうがそうなんじゃない?」 彼氏いるし、ね。 「ひ、柊ちゃん……そんなことないよ」 「そのあやのとおんなじ顔してっぞ……」 「み、みさちゃんまで……」 「いや、それ以上かもしんねぇ……」 そうかしら……?そこまで言われるほどじゃないと思うんだけどね……。 私の感覚がおかしいだけ? 「でも柊ちゃん」 「何?」 峰岸は、私にむかってにっこり微笑みながら言った。 「今の柊ちゃん、とっても幸せそう。悩みなんて何にもないって顔してるよ」 「そうだな、いつかの時の暗い顔がウソみたいだぜ」 峰岸はあの頃から気づいていたみたいだからね……。 日下部も多分同じだったんだと思う……。 やっぱり、あの頃の私は他の人が見てもわかるくらい悩んでたんだ……。 ―――あの頃は、本当に辛かったわ……。 ―――でも今は、本当に幸せ……。 「よかったな、柊」 「おめでとう、柊ちゃん」 日下部は快活な、峰岸は柔らかな笑顔で私に言ってくれた。 「うん、ありがとう、二人とも」 私は自然と微笑みながら、その言葉を口にしていた。 キーンコーンカーンコーン――。 今日という日の出来事も、開幕はチャイムだった。 そのチャイムは、最後の授業の終了を告げるもの。 つまり―――――放課後になったことを知らせる音。 「こなた、お待たせ」 私はこなたに言われた通り、3年B組の教室にきていた。 3年のこの時期となると、みんなすぐ帰って家や予備校での勉強に勤しむため、 掃除当番に当たっていたとは言え、まだ放課後になって二十分も経ってない今でさえ、もう教室は静まりかえっていた。 「お、かがみん、待ってたよ~♪」 「ごめん、ちょっと掃除当番になってて……」 「いやいやぁ、ちょっとくらい遅いほうが周りに人もいないし、恥ずかしくなくっていいよ」 「ま、まぁそうね」 その言葉の後、少しの間静寂が流れる。 お互い、切り出すのに少しの勇気が必要……。 けど、必要な少しの勇気が、絞り出せなくて……。 先に口火をきったのはこなた。 「それでね、かがみ」 こなたは少し言いづらそうに、切り出した。 「う、うん……」 「実は、ね」 「うん……」 「つかさとみゆきさんにも、いてもらってるんだ」 「えええっ!?」 こなたの口から出た想定外の言葉に、教室を見渡すと私達の対角線につかさとみゆきがいた。 「あはは、お姉ちゃん、ごめんね……」 「そ、その、お邪魔でしたらすぐ私たちは出て行きますので……」 つかさとみゆきは、二人とも気まずそうな顔をしていた。 私には、こなたが何を考えて二人に残ってもらってるのかがわからなかった。 けれど、その問題の解はすぐにこなたに明かされた。 「今日は実はチョコを渡しあうだけの日にしたくないんだ」 「えっ……?」 こなたの顔は、いつになく真面目だった。 「私が前に言った、お互いの選んだ料理を交換するって話、覚えてる?」 漠然と記憶にある、単語の欠片。 それを1つずつ結び、少しずつ浮かび上がる、記憶の像。 導き出されたその内容。 「それって……」 「う、うん……」 顔が熱くなるのを感じる。こなたの顔もいつの間にか真っ赤になっていた。 「け、けけけっけっけ………」 恥ずかしさのあまり、思考回路はショート寸前な私は、舌が回らない。 「そう、結婚式……」 こなたは小さな声でそう言った。 「な、なななな、なななぁぁぁ!?」 ―――――ッ。 「で、でね、かがみ」 「ハウウゥ……しょーとシマシタデスゥ……」 「か、かがみ?大丈夫…・…?」 「はっ!?わ、私どうかしてた!?」 こなたが心配そうな顔で私の言葉に頷く。 「う、うん……」 「ごめん……。それで、なに?」 私の言葉に、こなたはその小さな口を開いた。 「今日、ここでやりたいんだ。想いが詰まった食べ物を交換して食べあって、そして誓いの言葉を言う。そんな簡単な、ネトゲの中でのと同じ結婚式だけど……私はそれがやりたいんだ。………もちろん、かがみがよければ、だけど……」 そっか……。 今まで私たち、付き合ってからこれといってお互いにその証となるようなこと、ほとんどしてなかったからね……。 やっぱり、少し不安なんだ……。 それにしても、お互いの選んだ食べ物を交換して食べる結婚式、か――――。 「ねぇ、こなた……」 「うん、分かってるよ……。ネトゲの中でのなんて、バカみたいかもしれないね。遠慮しなくていいよ、嫌だったらはっきり―――」 「そんな素敵な結婚式をあげるつもりだったなら、ちゃんと言っておいてよね!」 「えっ?」 こなたは、きょとんとしていた。 「い、良いの?ネトゲのやつのなんだよ?」 「当たり前じゃない。そんな素敵な式、私もやってみたいわ。たとえネトゲのでも、中身は人なんだから、現実のと変わらないわよ。それでたくさんの人が幸せになれるんだから、私たちも幸せになれるに決まってるじゃない」 「かがみ…………ありがと」 「お礼を言いたいのは私のほうよ。ありがとね、こなた」 私の言葉に照れたような顔を一瞬するこなた。でも、それを隠すようにいつもにすぐ戻った。 「ツンとデレを両方兼ね備えた言い方とは流石だね、かがみん♪」 「もう………茶化すな」 いい雰囲気なんだから、余計なこと言わなきゃいいのに、こいつはまったく……。 「それで、つかさとみゆきさんにも、私たちの結婚式を祝って欲しかったんだ」 「だから、二人に残ってもらったわけね」 「うん……」 ―――そっか、そうだよね……。 二人のおかげで私たちは今こうしていられる。 そんな二人には祝って欲しいよね……。 「つかさ、みゆき」 私は二人のほうを向く。 「私からも、お願いしてもらって良い?」 私の言葉に、つかさとみゆきは笑顔を咲かせた。 「うんっ!」 「はい、まかせてください!」 「二人とも、ありがとう」 私も笑顔で返した。 「それじゃ、みゆきさん、お願いしていいかな?」 「はい、任せてください」 こなたの言葉に、みゆきが笑顔のまま頷く。 「え、どうしたの?」 よくわからない中、みゆきはそそくさと本を用意し始めた。 「ふふ、かがみん、やるなら本格的に、がいいでしょ?」 「そ、そりゃそうだけど……」 「ってことで、みゆきさんに神父様役をお願いしたのだよ!」 「ええっ!?」 こなたの言葉に、本日何度目かの吃驚。 「調べてまとめた台本を用意して一昨日に聞いたんだけど、快く引き受けてくれて助かったよ~」 「本物の神父様とは程遠いものとは思いますが、全力を尽くしますね」 「ありがと、お願いね、みゆきさん」 私は二人のやり取りを見て、こっそりとこなたに聞く。 「こ、こんな大掛かりなお願いしちゃって、もし私が作ってなかったらどうするつもりだったのよ……」 受験も始まってるし、作ってない可能性も十分にありえたのに……。 「私にはかがみが作ってくれてるって、分かってたからね♪」 自信満々に言うこなた。 まったくどっからその自身が沸いてくるのやら、と思った矢先に浮かぶ、一人の顔。 「またつかさか………。まったくあの子は―――」 「いや、違うよ?」 「え?」 「かがみの手、丁度一週間前くらいから絆創膏がどんどん増えてるんだもん。練習してくれてるんだって、すぐわかったよ」 こなたが笑った。でも、それは表現するなら、ニヤリ。 「ありがとね、かがみん♪」 「ば、バカ……分かってたなら言いなさいよ……」 「え~?だって、ねぇ?」 うう……、ずっと隠れてやっていたのに筒抜けだったなんて……。すごい恥ずかしい……。 「ああ、もういいわよ!!早く始めるわよ!!」 「にひひ、照れ隠しするかがみは相変わらず可愛いねぇぇ~?」 「う、うるさい!みゆき、お願い!」 「はい、わかりました。では、お二人とも、こちらへ」 窓を背にしながら、優しく微笑んでいるみゆき。 ちょっと離れたところで、にっこりと見ているつかさ。 みゆきの方を向きながら、少し緊張しているこなた。 こなたの横に並んで、始まりの時を待ち続ける私。 「えー、コホン。それではここに、柊かがみと泉こなたの挙式を始めます」 ―――そして、式は開かれた。 窓には真っ青にもかかわらず、月が浮かんでいた。 「――――でも、消して忘れないでくたさい。夜空を見上げることを」 すらすらと止まることなく、みゆきの口から紡がれていく言葉。 「星々のひとつひとつが大いなる天空を形づくっているように、私たちひとりひとりにも必ず意味があることを。皆が出会いを大切に、互いを愛している限り、この地は祝福と加護を受けられるのです、と」 その言葉のひとつひとつが、とてもゲームの中でのものとは思えない程、素敵な表現ばかり。 「出会いは星の運命ですが、愛を成就させるためには試練が必要です。星の運命によって出会いし、この2人も、今宵その試練を受けます。ここに集った我らは、その証人となるのです」 今はその証人は、つかさとみゆきだけ。 でも、いつかきっと、もっとたくさんの人が私たちを祝福してくれる日が来てくれる。 「かがみ、こなた、向かい合ってください」 みゆきの言葉に、向かい合う私とこなた。 「こなた、今日はかがみの血肉となるものを持ってきましたか?」 「はい。ホワイトチョコを用意しました。私たちの関係が円満なように、鏡のように丸く、月のように真っ白なチョコです」 こなた……そこまで考えてくれて、作ってくれてたのね……。 って、エピソードまで言わなきゃいけないの!?聞いてないわよーーッ! 「よいでしょう」 みゆきはそう言って頷いた後、今度は私の方を向く。 「かがみ、今日はこなたの血肉となるものを持ってきましたか?」 ど、どうしよう……。何も思い浮かばないし……。 ああ、もういいわ!はっきりそのまま言ってやるわ!! 「はい。生チョコを作ってきました。一週間前からつかさと練習して、最後には私一人の力で作りました。ちょっと不恰好だけど、私の想いをこめました」 「よいでしょう」 さっきと同じように頷いてから、みゆきは再びこなたの方を見る。 「こなた、汝、この者を夫とし、星の雨が降りし朝も、陽が失われし昼も、闇が訪れぬ夜も、助け合い、分かち合い、共に過ごすことを願いますか?」 「はい、願います。我が運命は、かがみと共に」 「よいでしょう」 みゆきはこなた向かってうなずいた後に、また私のほうを見る 「かがみ、汝、この者を嫁とし、星の雨が降りし朝も、陽が失われし昼も、闇が訪れぬ夜も、助け合い、分かち合い、共に過ごすことを願いますか?」 「はい、願います。我が運命は、こなたと共に」 「よいでしょう」 みゆきは今度はまっすぐ私たち2人を見る。 「それでは、互いの願いを血肉とするため、交換した食物を口にしてください」 みゆきの言葉通り、私はこなたにチョコレートを差し出す。 こなたも、キレイに包装されてリボンまで可愛く結んであるチョコレートを私に差し出してくれた。 私はこなたに、こなたは私に。 それぞれの思いが、それぞれの手に。 こなたの渡してくれたチョコのリボンをとって包みを敗れないように剥がして中の箱を開けると、こなたの言葉通りの丸い大きなホワイトチョコが1つと小さめのが1つ、きれいに収まっていた。 さ、流石こなた、上手ね……。 こなたの方を見ると、こなたも私の作ったチョコを丁度見ているところだった。 ――早朝、今度はなんとか成功したけど、時間がなくて……ううん、言い訳しないわ。私が不器用で、セルクルから外した後のカットが上手くいかなく出来なくて……。 それに、専用の箱に入れて包むときも、少しきたなくなっちゃったし……。 あれじゃ、こなたに笑われるかも……。 そう思ったけど、こなたの私の作った不恰好なチョコを見る目は、嬉しそうだった。 「かがみ」 突然こなたが小声で話しかけてくる。 「何?」 私も小声で返す。 「今はそっちの小さいほうを食べてね。そうすれば、同じくらいの時間で食べ終われるから」 「わかったわ」 「それと……せーの、で食べよ?」 「ふふ、そうね、わかったわ」 私とこなた、2人で頷きあう。 「「せーの」」 私とこなたは同時に食べた。 口の中に、甘い味が広がる。 「美味しい……」 つい、そう言葉が漏れていた。 「かがみのも、美味しいよ」 「あ、ありがと……」 素直に美味しいっていわれると、結構恥ずかしいわね……。 そう思いながら、わたしもこなたもお互いのチョコを食べ終える。 それを確認してから、みゆきが再び口を開いた。 「こなたよ、我が後に続いて、誓いの言葉を述べなさい」 みゆきの言葉をこなたが、その後に私が繰り返して、神への宣誓をする。 ―――そして、いよいよ式はクライマックスへ。 「指輪交換、といきたいところですが、それは数年後の楽しみにしておきましょう」 流石に指輪交換までは出来ないわね……。 「月とうさぎのように、2人が末永く時を共にせんことを……」 みゆきがにっこりと微笑む。 「さあ、歩み始めるのです―――と言いたいところですが」 みゆきがそこでこほん、と式の幕開けのとき同様に演出で咳き込んだ。 「その前に、お互いに向き合い、心で誓約の言葉を交わして下さい」 「ちょ、ちょっとみゆきさん、それはカットって言ったじゃん!」 こなたが当然慌てたように言い出す。 「どうしたの?」 「カットするはずだった場所をみゆきさんが……」 「どうしましたか?式の最中ですよ。神父である、私の指示通りにしてください」 みゆきがいつも以上ににっこりと微笑む。 「えっと、何すればいいの?いまいちよくわからないんだけど……」 私はこなたに小声で聞く。 何故かこなたは顔を真っ赤にして俯いていた。 何気なくつかさのほうを見ると、つかさもさっき以上の笑みを浮かべている。 なんなの、いったい………? 私だけ理解できていないようだった。 「―――――」 「え?」 こなたが突然小さな声で何かを言った。けど、小さすぎて聞き取れなかった。 今度は聞き逃さないように、と注意深くこなたを見る。 そしてこなたの口から、本日何度目かわからない程の吃驚単語が飛び出た。 「キス……」 「き、きキきき、キきキ!?」 「お姉ちゃん、結婚式なんだから当たり前だよ~」 そ、そりゃ、結婚式っていったら確かにそうかもだけど、でも……!! …………まだ1回もしたことないし…………。 「か、かがみ……どうする……?」 「どうするもこうするもないわよ……」 小声で話す私とこなた。 「お姉ちゃん、こなちゃん、頑張って!」 応援してくるつかさ。 「ふふ」 にっこりと微笑むみゆき。 こなたとのキス。 言われてみれば、一回もしていなかった。 ――――――――。 「そうね、こなた、せっかくの結婚式なんだから……」 「かがみ……?」 「しよっか……?」 「それ、すっごくいやらしく聞こえるよ」 「ば、バカ、キスよ、キス」 「わ、わかってるよ」 「い、いい?」 「う、うん……」 ああ、自分で言い出したのに、やっぱり意識しちゃう……。 少しずつ近づく、私とこなた。 その距離に比例して鼓動が、いつもよりもさらに速く鳴る。 こなたの顔が、もうほとんど目の前。 曖昧だけど、3センチくらい……。 こなたが瞳を閉じる。 私も、同じように瞳を閉じた。 そして、距離が―――――――――0になった。 お互いから感じられる、お互いの想いが詰まった味。 ファーストキスはレモンの味って聞くけど、私たちのそれは、とっても甘いチョコの味だった。 少しして、名残惜しい気持ちがありながらも、私とこなたの間に再び距離が出来た。 こなたの顔を見ると、真っ赤な顔で照れながら私を見つめていた。 多分、私もおんなじような顔、してるんだろうな……。 「おめでとうございます、泉さん、かがみさん」 「お姉ちゃん、こなちゃん、おめでと~~!」 つかさとみゆきが、拍手をして祝ってくれる。 「あ、ありがとう、二人とも……」 私は、恥ずかしい気持ちをなんとかこらえながら、2人にお礼をする。 「ありがと……」 こなたも聞こえないくらいの小声でそう言った。 「さあ、歩み始めるのです」 私とこなたは、自然とお互いの手を繋ぐ。 「祝福に満ちた、第一歩を………」 私たちは何も言わず、けれど同時に歩き出した。 「おめでとう~~、二人とも!」 つかさはまた私たちに祝いの言葉をくれる。 「お二人とも、本当におめでとうございます」 みゆきもいつもの口調に戻って、私たちを祝福してくれた。 「かがみん」 「どうしたの?」 「いつか本当の結婚式があげられる時はさ、私、純白のウェディングドレスが着たいな。かがみは白のタキシードを着てね」 「ふふ、いいわね。そうしよっか。そのときはちゃんと、指輪の交換もね」 「うん。つかさとみゆきさんにも、また祝ってもらわなきゃね」 「そうね。きっとつかさはラッパみたいのを吹いて、みゆきは紙ふぶきを撒いて祝福してくれるわよ。天使みたいにね」 「あはは、かがみの言ってる通りになる気がするよ」 私たちはゆっくりと並んで歩きつづける。 「ねぇ、かがみ、それとさ」 「ん、こなた?」 こなたは私のほうを向いて、顔を赤くしたまま笑顔を向ける。 「これからもよろしくね、ステキな旦那さま」 私もこなたに笑顔で返す。 「うん、この先もずっと一緒よ、カワイイお嫁さん」 ――時はうつるもの。 ――その先にある私たちの未来にうつるもの。 それは―――――『11』。 私とこなたが一緒に並んでお互いを助け合って生きていける、そんな『11』の世界。 Fin... コメントフォーム 名前 コメント 2023年になった今でも素敵な作品出会えて良かったです。 GJ!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-01-02 21 47 17) これ見たっけぇぇぇぇぇっ!? -- 猫好きカービィ (2021-01-24 18 36 07) いやいや、俺はなあ、2020年じゃあああ!!! -- 猫好きカービィ (2020-02-16 11 47 12) こなかがに幸あれ -- 名無しさん (2017-07-09 18 22 24) 2017…だと… みwikiさんすげぇ -- 名無しさん (2017-03-27 09 35 49) いや....俺は2014年だ!! 感動した!! -- こなみん (2014-08-17 02 15 41) とっても感動する話でした! これからも、こういう作品を作り続けてください 応援しています! まぁ・・・2013年じゃ遅い気もするけど(-。-; -- チョココロネ (2013-11-16 22 38 53) 毎度おもうが、みwikiさん結構主要キャラになってないッスか? -- 名無しさん (2010-08-14 01 30 28) 最高です…!! 本当にこうなれればいいね -- 名無し (2010-06-10 01 56 27) なんという素晴らしいハッピーエンド…感動しました -- 名無し (2010-06-02 00 11 15) 成る程これがあのメガミのピンナップのイラストに繋がって行くと -- 名無し (2010-05-18 17 48 20) あれ、なぜだか目から汗がダラダラ出てくるぞ…。 -- 名無し (2010-05-05 19 57 55) 同じく全俺が泣いた -- 白夜 (2009-12-16 23 55 45) なんだろう…さっきから頬が湿っぽい…PCの画面も妙にぼやけてるぞ? -- こなかがは正義ッ (2009-11-13 01 02 19) 全俺と表情筋ですら泣いた -- 名無しさん (2009-11-11 23 00 48) 全俺が泣いた -- 名無しさん (2009-03-11 18 22 50) 素敵なSSでした GJ☆ -- ポーター (2008-10-05 22 56 45) 感動しました -- 名無しさん (2008-10-03 21 37 01) 泣いた -- 名無しさん (2008-09-01 00 11 38) GJ 本当に将来こうなるといいね -- 名無しさん (2008-03-17 16 47 12)
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楽しいとつまらない。嬉しいと悲しい。そんな対照的な気分を同時に持つのは変なのかな? 困ったことになった。これは本音。あともう一つ。でもよく分からない。なんで、いいよ、なんて言ったんだろう? 「こなたー!8時になったけど朝ごはん食べない?ってもう起きてたの?」 透き通った声。綺麗に響く私の名前。なんかくすぐったいよ。 「おはよ、かがみ。起きてるには起きてたよ。」 「・・・あんた、また徹夜か?」 「勘がいいね。」 ドアの方を見ると、エプロン姿の女の子。髪の毛の色はパープル。そしてツインテール。 なんとまぁ、改めてみると絵に書いたようなツンデレキャラだ。 「あのさ、同居し始めて1週間たったよね?」 「うん。」 「さて、問題。徹夜でゲームしたのは何回目だ?」 きりっとしたつり目。これも萌え要素だよね。でも、つり目はつり目でも、なんとなく優しく見えるのは気のせいじゃない。 「5回目。」 「・・・体壊すわよ?」 「大丈夫。慣れてるから。それより・・・焦げ臭いよ?」 「やばっ!卵焼きこげちゃうっ!」 そういって慌てて駆け出すかがみ。ツインテールが宙を舞った。あんな理想のツインテール、初めて見た。 「はぁ。」 無意識にため息が出る。 自分のペースを崩したくない。あまり人と話すのは得意じゃない。もちろん、甘えるのも苦手。 かがみにはまだあまり知られてないが、いわゆるオタク。一人がスキだ。 なのに、何故? この質問は1時間に1回、私を駆け巡る。自分でも分からない、同居の理由。 私に光は似合わない。かがみが陽性植物なら、私は陰性植物。 同じ環境では暮らせない。それなのに始まってしまった同居。お父さん、いきなりこなたは憂鬱です。 隣の2号室にはつかさ。かがみの妹。天然な女の子。 私の部屋は3号室です。同居人がいます。名前はかがみ。きっとツンデレな女の子です・・・仲良くできるか不安です。 始まりは半分の憂鬱と、半分の、期待。ここから始まる幸運星荘での生活。 ‐‐‐‐ 「徹夜までして何やってるの?」 もぐもぐとパンをかじりながらかがみは私に問い掛ける。やはり少女とパンは合うな。 「んー、まぁ、ゲームしたり、マンガ読んだりかな。」 ギャルゲーや、ネトゲーだけど。きっとかがみには検討もつかないだろう。 いわゆるオタク文化。ディープな世界の住人。中学時代から、変わらない私。 「へー。今度私にもやらせてよね。」 「うん。」 変わらなくていい。ずっと狭い無機質な世界で生きていきたい。現実より楽なデータの世界で。 なのに。神様は酷だ。私の願いなんて聞き入れてくれない。 「夜更かしは体にも美容にも悪いわよ?今日は早く寝なさい。いいわね?」 「大丈夫だよ。」 「ダメ!約束だからね。それと、人と話すときは人の目を見る!あと、もっとはっきり喋りなさい!」 なんだこれは?これなんて罰ゲーム?望まない介入。つまりはお節介。 それなのに、私の半分は、そんな事を微塵に思っていなかった。 「・・・はい。」 「まぁ、いいわ。ごちそうさまでした。じゃ、私ここで勉強してるから。」 そう、半分は。この半分の気持ちは中学の時にはなかった。だから私は戸惑う。かがみを見ると、戸惑う。 「こなたも気が向いたらおいでよ。ま、ムリにとは言わないけどさ。でも案外楽しいかもよ?友達同士で勉強するのもいいものよ。」 トモ、ダチ? あぁ、そっか。私ってやっぱり馬鹿なんだな。こんな単純な事に気が付かなかったなんてね。 「あのさ、かがみ。」 有り得ないと思っていた感情。でもこの瞬間、憂鬱が負けた。だから認めなきゃいけない。 私の密かな期待と感情を。 「なに?」 「いや、別に、何って言う程じゃないけど・・・」 期待してるだけじゃ変わらない。せっかく、幸運に恵まれた、かもしれないこの同居。 後悔はしたくないもんね。 ‐‐‐‐ 「あのさ・・・」 たまには光を浴びるのも、悪くない。強い光を浴びて、変わってみるのも、悪くない。 やっと分かった、答え。1週間悩み続けた問題。答えは本当に単純。 「勉強教えてくれないかな?」 「私がこなたに?」 「ダメ、かな?」 惹かれたんだ。 「いいけど、私こなたに教えられるかどうか・・・」 「大丈夫。私も今年の春から・・・」 無機質な世界から生身の世界を感じてみたい。かがみを見た時、そう思ってしまった自分がいた。 ずっと、このままでいい。そんな考えを押し退けて、陰性植物は陽性植物に惹かれたんだ。 だから、ちょっと勇気を出して、光を浴びてみようと思った。 「陵桜学園に行くんだ。だから宿題は同じだよ。」 「え!?それマジ!?」 「・・・そんなにビックリしないでよ。いくら小さいからって失礼だぞ。」 「いや・・・それもビックリだけどさ・・・」 「ふぇ?」 「・・・陵桜の始業式、明日よ?もしかして、宿題手付かず?」 パープルのツインテール。女の子らしい繊細な体躯。凛と響く声。 初めて見た時から、友達になりたいって思っていた。初めて、生身の人間と友達になりたいって思った。 かがみの性格、全然分からないのにね。変かな? 「・・・」 「図星か?」 「・・・テヘ。」 「テヘ、じゃない!」 「というワケで、宿題見せてー、かがみん。」 「かがみんって・・・てか自分でやりなさいよっ!」 「とか言いつつ、今、バックからテキストを取り出して私に見せてくれるような素振りを見せるのはなんなのカナ?」 「う、うるさいっ!・・・今回だけだからね。」 「おぉ!リアルツンデレ!かがみんは可愛いなぁ。」 「ツンデレってあんたね・・・いいからさっさとやりなさいよ・・・」 私の部屋は3号室。同居人が、友達になりました。名前はかがみ。立派なツンデレです。 これが今日の幸運。さて、明日はどんな幸運があるのかな? ‐‐‐‐ 3話 目の合わせ方へ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-01-04 14 17 24)
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雨が冷たい。肌がヒリヒリする。指がかじかむ。私の中に温かさはない。 私の胸にポッカリ空いた空虚に吸い込まれるように、春雨が降り注ぐ。 私を責め立てるように。 こなたの温度をかき消すように。 私がこなたに出会ってから3年。私達は陵桜学園を卒業した。 「早かったね。高校三年間。お姉ちゃんやこなちゃん、ゆきちゃんと居たからかな?」 「そう考えるととても感慨深いですね。」 「つかさやみゆきさんはロマンチストだねー。ま、かがみはどうか分からないけど。」 「うるさいわね。私だって少しぐらい感傷に浸るわよ。」 少しぐらいじゃなかった。たくさん、たくさん、胸にくるものがあった。 思い出が多過ぎて、私に刻みきれないくらい、たくさんの幸せがあった。 それはもちろん日下部達ともそうだけど、やっぱり。 「私、皆と同じクラスにはなれなかったけど、楽しかった。 胸を張って大人になったって言える。皆ありがと。」 「お姉ちゃん・・私も凄く楽しかったよ。専門学校に行っても、おばーちゃんになっても忘れないよ。」 「私もです。泉さんやかがみさん、つかささんとの思い出、大事にします。」 「忘れない・・私は皆がくれた萌えを決して忘れない!」 「はいはい、こなたらしいわね。」 「最後ぐらいもっとデレていいんだよ?かがみ。」 「う、うるさいわね!」 4人で笑い合った、高校最後の帰り道。ずっと続くと思ってた。 皆それぞれの道を歩み初めて、少しずつ変わるだろうけど、 つかさがいて、みゆきがいて、そしてこなたがいる。 ずっとずっと一緒に笑い合える。そう、信じてた。 『で、かがみは一人暮らしにするの?』 ほぼ毎日していたこなたとの電話。卒業した日の夜もこなたの声を受話器越しに聞いていた。 「まーね。家からだとちょっと不便だし。」 『寂しくなったら逢いに来ていいんだからね?』 正直寂しくないって言ったら嘘になる。でも私は素直になれなかった。 今なら素直に言えるのに。 失ってから大事なものに気が付くって本当だった。 「さ、寂しくなんてないわよ。・・ちょっとつまんなくなるだけよ。」 『素直になれないかがみは可愛いなぁー。まさにツンデレ。』 「うっさいわねー。」 『ねぇかがみ?』 私は名前を呼ばれるのが好きだった。こなたが発する『かがみ』という単語が好きだった。 柔らかくて、心地よくて。眠くなるように温かい。こなたはそんな風に私の名を呼んでいた。 でも今思い出すと、この時のこなたの声は、泣きだしそうな少女のように、震えていた。 「何よ?たまにはデレてって言われても無理だからね!」 この時の私には、震えたこなたの声に気付けなかった。気付いてあげられなかった。 そしてこんなバカらしい事を口にしていたんだ。 『んーん、何でもない。・・・ねぇ、明日遊びにいかない?』 「いいわよー。どうせ暇だし。」 今でも腹が立つ。のんきに返事をした自分に、こなたの声の変化に気が付かなかった自分に。 「んーおいし。」 「相変わらずケーキ好きだねーかがみは。太るよ?」 私達はいつも通っていたケーキバイキングに足を運んだ。 こなたとの思い出もここにはたくさんあった。 「いーのよたまには!こなたも食べないと損よ?」 「いやー私はもうお腹いっぱいだよ。かがみのその弛んだ顔を見れただけで。」 「な、何言ってんのよ!?」 「照れるかがみも萌えるなー。」 「あんた結局三年間変わらなかったわね。まぁそれがいいんだけどね。」 そこがこなたのいいトコだと思った。無邪気な笑顔でアニメやゲームの話をしてくる。 そういうトコが好きだった。 「さ、次はどこ行きますか、かがみ様?」 「そーねー・・こなたはどこ行きたい?」 「じゃとりあえずブラブラしない?大学に入ったら逢える時間もへっちゃうからね。 いまのうちに思い出作り。」 「ブラブラのどこが思いで作りだよ。」 「まぁいいじゃん、行きましょーかがみ様。」 「様をつけるな!」 ごめんね、こなた。 こなたがブラブラするのが思い出作りだって意味が分かったのはついさっき。 こうやって、私はこなたを傷つけていたのかな? 今とても悔やんでる。ずっとこなたの近くにいたのに。三年間もいたのに。 大事な人なのに。 「・・・でね、あっ、雨?」 「雨、だね。」 「どっかで雨宿りしよう?こなたんちも私の家もあんま近くないから。」 「だね、じゃあの公園の広場まで競争!」 「あ、まてこら!!」 久しぶりに全力で走った。受験勉強でカラダが鈍っているはずなのに、体が軽かった。 横には私に気を遣いながら走るこなた。だから、爽快な気分だったのかもしれない。 「はぁっ・・・はぁっ・・あーっ冷たい。結構濡れちゃった。」 「かがみ大丈夫?」 「うん、でも少し寒いかな。」 「じゃーこうしよー!」 春雨で濡れた背中に温かいぬくもりを感じたのを覚えている。いつも感じていた確かな温度。 「どう?背中合わせ。結構萌えない?」 「質問違うだろ。普通温かい?とか聞くだろ?」 「あーあったかい。」 「無視かい。でも何もしないよりはマシね。」 春雨は少しずつ雨脚を強くして街を濡らしていく。 雨の音の他に2つの鼓動が私の耳に響きわたる。私とこなたの間にはちょっとした沈黙が流れる。 「かがみ。」 「んー?」 沈黙を破るこなた。 こなたがどんな顔をしているか私には見えなかった。 そして、雨の音をかき消す、か弱い声が私に届いた。 「好き。」 2つの鼓動が一瞬止まったように、感じた。 雨の音が聞こえなくなった。たった2つの言葉を並べた単語によって。 「・・・え?」 「好き。私、かがみが好き。ずっと、かがみの傍にいたい。」 この時の事はよく覚えていない。ただ好きという単語の意味を考えていた。 「気が付いたら、いつも傍にかがみがいて、私を助けてくれていた。」 「・・・」 「かがみを見ていると胸が苦しいんだ。あー、これが恋なんだって思った。」 「こなた・・・」 「最後まで聞いて!女の子同士なんておかしいよね?私も何度も思った。 でも、理屈じゃないんだ。かがみが好き。上手く伝えられないけど・・・ もっともっと、伝えたいことあるのに、言葉がでないんだ・・・」 こなたが私を・・・好き? 私は?こなたをどう思っているの? 親友?好きな人? そんな事が頭をぐるぐる回っていた。それで、何も話せなかった。 「・・・」 「かがみは、私のこと、キライ?」 分からない。分からない。分からない。分からない。私がこなたに抱いている好きと、こなたが私に抱いている好き。 ずっと親友だと思ってた。 ずっと笑いあえる大切な人だと思っていた。 錯乱していた私は、一番残酷な答えを、こなたに出した。 「ぐすっ・・ひっぐ・・ぐすっ・」 「か、かがみ・・・ごめん・・・」 いつの間にか、泣いていた。目から涙が、止まらなかった。こうやって私は悲劇のヒロインを演じた。 最低だ。私はこなたから逃げたんだ。泣く、という最低な方法で。 「泣かせてごめん。いつも迷惑かけちゃうね。なんでだろうね・・・」 違う、違う。 そう叫びたかった。それなのに、口から出るのは醜い嗚咽だけ。 「かがみ・・・返事はいらない。かがみは優しいから私のこと、傷つけないようにしてくれてるんだよね。ごめん・・・」 背中からぬくもりが消え、代わりに小さな腕が私を包んだ。 包んだこなたの腕は優しく、私を抱き締めた。 「かがみ、今までありがと・・・大好きだよ。私は貴女の傍にいれて幸せだった。」 もう、涙腺が壊れた。 春雨なんじゃないかってぐらい、大粒の雫石が頬を伝った。 「こ・・なた・・・ぐずっ・・・」 「大切な気持ちをくれて、ありがとう。忘れない、忘れ・・ない・よ・・・」 こなたも、きっと泣いていた。優しく抱き締めた腕が哀しく震えていた。 私を抱き締めていた腕が、私から離れていった。 振り向いた時には、もうこなたは広場から離れ、春雨に打たれていた。 「こなっ・・・た!」 嗚咽で上手く叫べなかった。こなたの名を叫べなかった。 「かがみ。幸せに、なってね。」 春雨で濡れた笑顔、哀しい笑顔は、私の脳裏にするどく、刻まれた。3年間の思い出よりも深く。 「さよなら。」 そう、こなたが言うと、こなたは雨の中に消えていった。雨に濡れた、世界に。 どうして引き止められなかったのだろう? どうして答えを出せなかったのだろう? どうして、傷つけてしまうだろう? どうして・・・分からないんだろう? 今も止まない、春雨。風邪を引いたって構わない。 私は、何度自問しても答えが出ない問いを、麻痺した脳に与えている。 自分を責めるように。 遅すぎる後悔と共に。 こなたの哀しい笑顔と共に。 新しい季節、こなたに出会って13回目の季節、4回目の春はもう始まっていた。 哀詞へ続く コメントフォーム 名前 コメント (´;Д;`)b -- 名無しさん (2023-01-02 21 58 36) 最初だからかな? あまり盛り上がらないんだね -- 名無しさん (2013-11-18 18 03 13)